株式会社トリプルアイズは2026年10月30日付で、社内にサイバーセキュリティの専門組織「サイバーセキュリティ室」を新設し、室長に前薗裕作氏が就任したと発表しました。本組織は、急増するサイバー攻撃への対応力を高め、同社の開発品質と自社プロダクトである画像認識プラットフォーム「AIZE(アイズ)」およびクラウド販売管理システム「PRISM(プリズム)」のセキュリティ向上を担当します。

サイバーセキュリティ室の概要と主な役割
サイバーセキュリティ室は、AIを悪用した攻撃に対抗するため、防御側でもAIを活用して脆弱性の把握やコードレビューを実施する体制を構築します。そのうえで、最終的な検証と判断は技術者が担い、AIに依存しきらない運用を徹底する方針です。
- 当社の開発プロセスおよび品質管理におけるセキュリティ強化
- 自社プロダクト「AIZE」「PRISM」のセキュリティ強化
- 最先端AIモデルを活用した脆弱性の把握・コードレビューと、技術者による検証・判断
- オープンソースやミドルウェアを含む、深いレイヤーでの技術調査と知見の蓄積
- FDE(Forward Deployed Engineer)をはじめとする社内人材へのセキュリティ知見の展開
- グループ全体のセキュリティ強化
- 技術者向けのセキュリティ研修の実施
Mr.ガジェット防御側でもAIを取り入れつつ、コードレビューや検証の最終判断を技術者が行う方針が明示されています。
Ms.ガジェットAI任せにせず人が検証に入る体制は、開発プロセスの安全性を考える上で心強い方針に感じられます。
新設の背景にあるシステム構造問題とPHPの脆弱性
トリプルアイズによると、2026年10月には企業を標的とした不正アクセスや個人情報流出が国内で相次ぎ、攻撃にAIツールが悪用された事例も確認されています。さらに、プログラミング言語「PHP」における深刻な脆弱性の発見により、多くの企業がサービスの予防的停止を余儀なくされる事態が発生しました。
背景として、多層的な開発・委託による経緯の不明瞭化や、保守コストを理由とした旧バージョンの継続運用といったIT業界の構造的課題を挙げています。また、AIに生成させたプログラムの内部構造を理解する人材の不足も指摘しており、10月中旬以降、Webページの作成者不明やサービス影響の抑制に関する相談が多数寄せられていたと説明しています。
トリプルアイズが培ってきたセキュリティ基盤と実績
同社はこれまでにも、多要素認証や閉域AI環境の構築など、多面的なセキュリティ対策に取り組んできました。これまでの実績分野は以下のように整理されています。
| 領域 | 取り組み内容と実績 |
|---|---|
| 顔認証AI | 2019年に画像認識プラットフォーム「AIZE」を提供開始し、顔認証による多要素認証(MFA)を推進。利用者数は15万IDを超え、東南アジア地域でも利用が進行。 |
| アーキテクチャ | 2025年1月にエッジ顔認証とMFAを組み合わせたサービスを提供開始。2026年4月にはグループ会社BEXと共同で、オンプレミス環境で完結する自動車業界向けローカル生成AIを発表。 |
| ガバナンス | 境界線を明確にした運用ルール策定支援や、有事の初動対応・エスカレーション基準の設計を実施。プライム上場企業の経営層向けコンサルティングや講演実績を保有。 |
| オペレーション | PHP脆弱性対応においてパッチ適用後の再ビルドや動作確認を迅速に遂行。オープンソースやミドルウェアを把握し、AI出力を制御できる技術者が社内に在籍。 |
Mr.ガジェット顔認証技術の運用実績や、オンプレミス環境でデータを外に出さないローカル生成AIの開発経験が基盤として挙げられています。
Ms.ガジェット端末内完結の顔認証から完全閉域のAIまで、自社でインフラやアーキテクチャを手がけてきた蓄積があるのですね。
室長プロフィールと今後のサービス展開構想
室長に就任した前薗裕作氏は、ブロックチェーン関連企業でインフラやバックエンド業務に従事した後、2020年にトリプルアイズへ入社しました。AIZEのインフラ部門責任者として基盤設計やセキュリティ強化を担当し、その後PRISMの脆弱性対応などを経て、開発組織全体の品質・セキュリティ改善活動を統括しています。
同社は、現場の活用推進と情報防御を両立させる体制を構築するとともに、今回新設した室で得た知見をエッジ顔認証やローカル生成AI、コンサルティング事業へ反映させます。あわせて、「AI活用を止めないためのサイバーセキュリティサービス」を近日中に提供開始する予定と発表しています。
Ms.ガジェットAI活用を止めないための新サービスが近日中に登場予定とのことで、今後の具体的な提供内容に注目したいです。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

AI生成コードの中身を社内で把握できていないケースや多層委託の課題など、身近に潜むリスクの多さに驚きました。