生成AIが仕事の道具として広がるなか、手書きで考える時間にはどんな役割があるのでしょうか。Goodnotesはメディア向け発表会で、ビジネスパーソンを対象にした調査と、手書きノートに蓄積した情報をAIで検索・整理する機能を紹介しました。
調査では、普段の思考整理や企画立案に生成AIを使う人が最も多い一方、約半数が手書きも活用していました。会場では、台本への書き込みや資料づくりなど、仕事に手書きノートを取り入れる具体例も紹介されました。
発表会で紹介されたこと

Goodnotes Limitedは2026年10月27日、B1FLAT(東京都渋谷区)で、メディア発表会「AI時代、いい仕事は手から生まれる。」を開催しました。日本市場での取り組みや調査結果、ノートを使ったワークフローが紹介されました。

基調講演にはGoodnotesのCOO、ミン・トラン氏が登壇しました。新井愛実氏はGoodnotesを使ったワークフローを紹介しました。パネルディスカッションには、文筆家・情報キュレーターの佐々木俊尚氏、AND CREATE代表取締役社長の清水久三子氏が参加し、TBSテレビ特任執行役員の竹下隆一郎氏がモデレーターを務めました。
Ms.ガジェット手書きとAIは、どちらか一方を選ぶ話なのでしょうか?
Mr.ガジェット発表会では、手書きで考えた内容をAIの検索や整理につなげる組み合わせが紹介されました。
調査から見る、手書きとAIの使い方

Goodnotesは、全国の20〜59歳の会社員1,000人を対象に調査しました。対象は、企画立案やアイデア出し、課題解決のための思考整理を、日常業務で週1日以上行う人です。調査期間は2026年9月18日から25日で、10業種と4つの年代を組み合わせた各区分に25人ずつ割り当てています。
企画や思考整理に使う手段

日常の思考整理や企画立案に使う手段を複数回答で尋ねたところ、生成AIが61.2%で最多でした。PCでの入力・作図ツールが55.3%、紙のノートやタブレットを含む手書きが49.9%と続いています。
仕事で生成AIを使う612人には、AIに聞かないと自分では考え始められなくなったと感じる頻度も尋ねています。「よくある」「ときどきある」を合わせた割合は51.0%でした。
Ms.ガジェット約半数が手書きということは、AIを使っていない人の割合ですか?
Mr.ガジェットこの設問は複数回答です。手書きと生成AIの両方を使っている人も含まれます。
独創的なアイデアと利用順序

自分なりの視点や独創性があるアイデアにたどり着いた経験がある972人に、そのとき使っていた手段を複数回答で尋ねると、手書きは48.6%、生成AIは39.0%でした。
独創的なアイデアにたどり着いた場面で両方を使った183人を、使う順番で分けた結果もあります。手書きから始めて次にAIを使う63人では、独創的なアイデアに「よく」たどり着くと答えた割合が42.9%でした。AIから始めて次に手書きを使う61人では18.0%で、前者は後者の約2.4倍でした。
この2.4倍は、各グループで、独創的なアイデアによくたどり着くと答えた人の割合を比べたものです。手書きを先にすることで創造力が2.4倍になると測定した結果ではありません。
Ms.ガジェットこの順序の比較も、調査に答えた1,000人全員が対象ですか?
Mr.ガジェットいいえ。独創的なアイデアにたどり着いた場面で、手書きとAIの両方を使った人を、使用順に分けた比較です。
調査の設問や各グループの回答は、Goodnotesの調査レポートで確認できます。調査結果の出典は「Goodnotes『AI時代の思考力/創造力実態調査』(2026年)」です。

パネルで紹介された3人のノートの使い方
パネルディスカッションでは、実際のノート画面を交え、台本づくり、資料の設計、書籍の構成という3つの使い方が紹介されました。
竹下隆一郎氏:テキスト編集と手書きの追記を行き来する

竹下氏は、PCで作った台本をGoodnotesに取り込み、手書きで書き加えた内容をテキストへ反映し、それを再びGoodnotesへ戻す使い方を紹介しました。テキストの修正と手書きの追記を繰り返し、台本の内容を練り直す使い方です。
清水久三子氏:資料の構成を手書きで考える

清水氏は、資料の構成や伝えたい内容を先に手書きで整理し、その後にスライドやAIを使って形にする方法を紹介しました。
内容を考える工程と、見せる形に仕上げる工程を分けている点が特徴です。AIを使って資料を作る際にも参考になる、構成づくりの具体例です。
佐々木俊尚氏:情報を矢印でつなぎ、本の構成へまとめる

佐々木氏は、集めた情報を白紙に並べ、情報同士を矢印でつなぎながら、書籍の構成へまとめていく使い方を紹介しました。集めた情報同士の関係を考え、本の構成を組み立てる段階で手書きを活用している事例です。
投影されたページにも、言葉を丸で囲んだり、矢印でつないだりした書き込みが見られました。情報を文章にまとめる前に、配置や線を使って関係を整理する様子が伝わる画面でした。
Goodnotes AIで紹介された機能

Goodnotes AIは、手書きで書き留めた内容を、後から探したり整理したりする作業を支えます。ノートに蓄積した情報を振り返り、次の資料やアイデアにつなげるための機能が紹介されました。
会場の展示端末には、手書きの文字に写真や付箋、ワークフロー図などを組み合わせた企画用の画面が表示されていました。
ノートを探す・手書きをテキストにする

入力したテキストだけでなく、手書き文字やPDF、画像、図表を含むノート内の情報を横断して検索し、質問に対してAIがチャット形式で回答できます。以前の打ち合わせで書き留めた内容や、読み込んだ資料にある情報を探したいとき、ノートを一つずつ開いて見直す代わりに、質問から関連する内容をたどれます。

手書き文字は、編集可能なテキストに変換できます。まずノートに自由に書き出し、後から文章を整えてメールや別の資料に活用する流れです。翻訳したい部分は、なげなわツールで範囲を選択して翻訳できます。
Ms.ガジェット手書きで書いた内容も、後から使い直せるのですね。
Mr.ガジェットノートを手で作り、必要な情報を探したり、文字に変換したりできるのが組み合わせの一例です。
音声の要約や図解の生成

会議や打ち合わせの音声を録音・文字起こしし、その内容をAIが要約する機能もあります。会議の内容を振り返りたいときは、手書きのメモとあわせて要点を整理できます。さらに、書き出したアイデアを図解やダイアグラムにして関係を視覚化したり、手書きの数式を認識して計算結果を示したりする使い方も紹介されました。

ダイアグラムの生成画面には、フローチャート、タイムライン、マインドマップの選択肢が表示されていました。
AIがPDFの内容をもとに目次(アウトライン)を作る機能も紹介されました。作成した目次をサイドバーに保存すると、そこから読みたいページへ移動できます。AI機能はプランによって異なるため、使いたい機能の条件はGoodnotes AIの公式ページで確認しましょう。

日本での取り組みとAndroid版の開発予定

学校・企業との連携
Goodnotesは日本での教育・コミュニティ・法人向けの取り組みを紹介しました。発表資料では、大学200校以上、初等・中等・高等学校320校以上との取り組みと、100名以上のクリエイター・コミュニティメンバーとの協業を挙げています。

教育向けには無償のGoodnotes Educationを通じて小中高のGIGAスクールプログラムを引き続き支援し、自治体や教育機関とのパートナーシップを広げる方針です。
日本での法人利用は建築・土木分野が最も多く、DXやペーパーレス化、業務改善を目的に導入されていると説明されました。日本のユーザーからの要望に基づく機能として、レイヤーやオブジェクト整理、法人向けのBox・Outlook連携も紹介されました。
Goodnotesは、今後も管理機能や高度なセキュリティ、シングルサインオン、請求書払い、クラウド指定など、日本のビジネスに対応する開発を進める方針だそうです。顧客との対話も続けるとしています。
Androidネイティブ版は開発中

Android版については、ネイティブアプリを開発中で、2027年3月頃の提供開始を予定しています。スマートフォン、折りたたみ端末、タブレットなどへの対応を目指し、一部の市場では先行テストを実施中です。提供時期は前後する可能性があります。
Ms.ガジェットAndroid版が初めて登場するという発表ですか?
Mr.ガジェットAndroid版はすでにあります。今回紹介されたのは開発中のネイティブアプリで、提供時期は変更される可能性があります。
Good Systemsと関連サービスの紹介

Good SystemsとGoodmeet

発表会では、今後の取り組みとしてGood Systemsと関連サービスも紹介されました。Good Systemsの公式サイトでは、GoodnotesとGoodmeetをそれぞれの製品として掲載しています。Goodnotesは手書きノートに考えを蓄積するアプリ、Goodmeetは会議の内容を記録・整理するサービスです。
Goodmeetは、AIによる会議の記録とプライバシーを重視したサービスです。公式サイトでは、端末上での文字起こし、保護された環境での要約、同期・共有時のエンドツーエンド暗号化を説明しています。会議の文字起こしと要約の対応言語には、日本語が含まれています。

Ondera

Onderaは、建築・土木業界に特化した製品として紹介されました。発表資料には、リアルタイムの共同作業や検査記録・レポートが挙げられています。
Ms.ガジェットGoodmeetとOnderaも、Goodnotesの中の機能ですか?
Mr.ガジェット発表会では、それぞれ異なる用途のサービス・製品として紹介されました。Goodnotesのノート機能とは分けて見るとわかりやすいです。
発表会から見えたこと
発表内容を通して見えてくるのは、思いついたことを手で書き留め、その内容を後からAIで探し、整理して活用する流れです。たとえば企画の断片をノートに書き、後から関連するメモを探し、必要な内容を文章や図解に整える、という使い分けが考えられます。
調査レポートで手書きに関する解説を寄せた東京大学大学院総合文化研究科の酒井邦嘉教授は、書いた内容を見直すことで、足りない点に気づき、考え直せるという視点を示しています。手書きとAIを別々に比べるだけでなく、書いたものを見直す時間と、情報を探して整理する機能を組み合わせると、ノートを作った後の活用にも目を向けられます。
調査結果は、こうした使い分けを考える参考になります。割合を読むときは、質問の内容に加え、回答者の条件と人数も合わせて確認しましょう。
まとめ
Goodnotesの発表会では、手書きとAIの利用に関する調査、登壇者3人のノート活用例、AI機能、日本での取り組み、Androidネイティブ版の開発予定が紹介されました。
手書きとAIの使い分けを考えたい人は、まず調査レポートで設問と回答を確認し、実際に使いたい機能の対応条件をGoodnotes AIの公式ページで調べてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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