株式会社RightTouchは、T&Dフィナンシャル生命保険株式会社においてナレッジ統合基盤「QANT ナレッジハブ(β)」が導入され、それを土台に「QANT スピーク」を活用したAIオペレーターの実運用が開始されたと発表しました。VoC(顧客の声)とFAQを突き合わせることでナレッジ充足度を37.3%から65.8%へ改善し、第一弾として生命保険料控除証明書の再発行受付などの一次応対から運用を進めています。

導入の背景と課題
T&Dフィナンシャル生命では、契約者数の拡大に伴う問い合わせ増加に加え、採用環境の厳しさによる人材確保の難化が課題となっていました。さらに2028年度以降に大量の満期を迎える保険商品を控えており、満期時期に集中する問い合わせへの対応体制づくりが重要な経営課題となっていました。同社は人員増強のみに依存せず、AIと人が役割を分担する対応体制への転換を経営方針に掲げています。
これまで同社は「QANT Web」を活用して公式サイトやマイページのFAQを整備し、「QANT VoC」により問い合わせデータなどの顧客の声を定量分析する体制を構築してきました。さらに電話の一次対応AI化に向けて自律型AIボイスボット「QANT スピーク」の検証を進め、用件ベースの振分精度99.3%を記録していました。次の段階として、AIオペレーターが円滑に顧客応対を行うための判断の拠り所となるナレッジの一元化と拡充を目指し、「QANT ナレッジハブ(β)」の導入に至りました。
Mr.ガジェット2028年度以降の満期集中という具体的な時期を見据えて、段階的にシステムを積み上げてきた経緯が明示されています。
Ms.ガジェット数年先の問い合わせ急増に備えて、Webや分析から電話対応まで着実にAI化の土台を作っていた点が印象的です。
ナレッジ充足度の改善と取り組み内容
取り組みでは、VoCから抽出した問い合わせトピックと既存FAQを突き合わせ、現状のナレッジで回答できるか否かを可視化しました。不足するFAQの改善や作成案をVoCから自動生成し、運用担当者がレビューおよび承認するだけで反映できる運用体制を整備しています。この結果、問い合わせトピックのうちFAQで回答できる割合を示すナレッジ充足度は、37.3%から65.8%(2025年10月1日〜12月30日の集計値)まで向上しました。
拡充されたFAQは一元化され、回答ごとに案内の条件や注意事項を明記することで、AIが扱いやすい「AI-Readyなナレッジ」への転換が進められました。これを基盤とし、第一弾として控除証明書の再発行受付において「QANT スピーク」を活用したAIオペレーターの運用を開始しています。決まった回答を返すだけでなく、顧客の状況に応じて案内を出し分ける点が特徴です。
また、QANT Web、QANT VoC、QANT スピークで蓄積される行動データや応対ログ、VoCをQANT ナレッジハブに集約し、ナレッジ不足の把握から改善策の実行までを循環させる運用体制を整えています。応対ログを起点にナレッジの品質を持続的に高め、担当者の負荷を抑えながらAIオペレーターの応対精度向上を図る仕組みです。
Mr.ガジェットVoCからFAQの作成案を自動生成し、担当者はレビューと承認を行う半自動の運用で充足度を65.8%まで引き上げています。
Ms.ガジェットAIが勝手に答えるのではなく、不足した回答案を生成して人が承認する仕組みなら、条件が複雑な保険手続きでも更新を続けやすそうです。
今後の展開とカスタマーサポート基盤「QANT」の概要
T&Dフィナンシャル生命は今後、控除証明書の再発行受付に続き、AIオペレーターの応対範囲を段階的に拡大する方針です。一次応対をAIオペレーターが担い、専門的な応対を人が担う役割分担を設計し、有人オペレーターの知見を取り込みながら応対品質の維持・向上を目指します。

RightTouchが提供する「QANT」シリーズは、カスタマーサポートの各業務や顧客接点でのAI実装を支援するプロダクト群です。主な製品構成は以下の通りです。
- QANT Web:顧客の困りごとを問い合わせ前に検知し、Web上での自己解決を支援するサポートプラットフォーム
- QANT スピーク:企業のナレッジ・VoCと生成AIを組み合わせ、対話形式で課題を深掘りする自律型AIボイスボット
- QANT VoC:生成AIで顧客の声の加工・分析・改善提案までをワンストップで自動化するVoC活用プロダクト
- QANT ナレッジハブ:社内に分散するFAQ・マニュアル・応対履歴などのナレッジを統合し、人とAIの双方が活用できる形へ再構築するAI-Readyなナレッジ統合基盤
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

控除証明書の再発行受付からスタートして、今後はどこまでAIオペレーターの対応範囲が広がっていくのか注目したいです。