株式会社システムアイは、株式会社レスキューナウ危機管理研究所と共同で、生成AIを活用したBCP(事業継続計画)訓練用シミュレーションシステム「災対本部訓練web CriSIM(ウェブクライシム、以下 web-CriSIM)」を開発したと発表しました。災害発生時に司令塔となる災害対策本部の実践的な訓練をパソコン上で行えるシステムで、まずは地震を想定した訓練に対応し、2026年内に販売パートナーを通じて販売を開始する予定です。
「web-CriSIM」の概要と開発背景
web-CriSIMは、災害発生時に「社内の司令塔」となる災害対策本部の訓練をパソコン上で行える、BCP訓練用シミュレーションシステムです。AIが生成する時系列に沿った被害想定をもとに訓練を実施することで、利用者は自社BCPの不足部分を認識し、本番での判断や指揮を執る力を養うことができます。初期対応として地震を想定した訓練に対応しています。
自然災害やサイバー攻撃などの不測の事態において、企業には「本番で使えるBCP」の運用や実戦的な訓練が求められています。しかし、先の展開が予測できない状況下での判断力を養うには、専門家による複雑なシナリオ作成が必要であり、時間や費用の負担から自社単独での実施が難しいという課題が存在していました。web-CriSIMでは生成AIが訓練シナリオの作成を担うことで、参加者が事前に展開を知らされない実戦的な訓練を、専門家に頼らず自社で実施できるようにすることを目指しています。
Mr.ガジェット従来の災害訓練は専門家への依頼費用やシナリオ作成の手間が課題になりがちでしたが、AIで自社完結できるアプローチは実務的な負担軽減につながりそうです。
Ms.ガジェット専門知識がない部署でも手軽に訓練を始められるのか、準備に必要な入力項目の細かさが気になります。
時系列で届く被害情報とリアルタイムの状況体験
訓練が開始されると、仮想の時刻経過に合わせて、震度や津波などの災害情報、交通・停電といった社会インフラの被害状況、本社や工場など自社拠点の被害状況や安否確認結果などのシナリオが表示されます。訓練者は刻々と届く情報から業務継続に影響のある要素を整理し、被害状況や課題を報告書にまとめて災害対策本部に伝達します。錯綜する情報の中から重要な内容を見極める判断力を養う体験を提供します。

AIによるシナリオ生成と低コスト・短時間の準備体制
これまで専門家に個別依頼していたシナリオ作成を、危機管理専門機関の知見に基づいてAIが担います。利用者は被災地域や被災時刻などの訓練条件と自社拠点の所在地情報を登録するだけで、登録情報に合わせた被害状況を含むシナリオが自動で作成されます。これにより、準備にかかる手間やコストを抑えながら短時間で訓練を開始できます。

Mr.ガジェット被災地域や時刻、拠点の所在地を登録するだけで個別の被害状況が生成される仕組みなので、初期設定の手間はかなり抑えられている設計です。
Ms.ガジェット拠点の立地や周辺環境の違いがどの程度シナリオの被害内容に反映されるのか、生成されるバリエーションを見てみたいです。
毎回異なるシナリオの提示と訓練後の振り返り機能
同一の訓練条件を設定した場合でも、実施するたびに異なる展開のシナリオが生成される仕様となっており、特定のパターンに慣れることなく多様な事態への対応力を鍛えることが可能です。また、訓練終了時にはシナリオに基づいた報告書の作成例が提示されます。訓練中に自社で作成した報告書と提示された作成例を比較・振り返ることで、体制や手順、利用ツールなどの改善点を把握し、BCPの実効性向上につなげられます。

Mr.ガジェット同じ条件でも実施のたびに展開が変化する設計のため、参加者が筋書きを覚えて形骸化するのを防ぎやすい構成になっています。
Ms.ガジェット終了後に模範的な報告書例と比較できる機能があると、自分たちの判断の抜け漏れをすぐに確認しやすそうですね。
選べる2つの訓練形式(グループ訓練・セルフ訓練)
web-CriSIMでは、組織の訓練目的に応じて「グループ訓練」と「セルフ訓練」の2種類の形式が用意されています。
Ms.ガジェットチーム全体で合わせる訓練だけでなく、個人で空き時間に進められるセルフ形式も用意されているのは運用の自由度が高そうです。
グループ訓練の特徴
災害対策本部の実際のメンバーが、BCPで策定された体制どおりにチームを編成して行う形式です。外部情報収集班、社内情報収集班、社内外情報発信班など3〜5班程度に分かれて役割を担当します。参加者全員の画面で同じシナリオが同時に進行するため、本番と同じ役割分担でチーム連携が機能するかを検証できます。
Ms.ガジェット班ごとに分かれて同じ進行のシナリオをリアルタイムに処理する形式なら、部署間の情報伝達の詰まりに気づけそうです。
セルフ訓練の特徴
eラーニングのように、利用者が都合の良い時間に自分のペースで実施できる訓練形式です。訓練を途中で中断し、後から再開することも可能です。各拠点の管理者や自衛消防隊メンバーなど、災害発生時に情報集約を担う可能性のある人員が日常的に経験を積む用途に適しています。
Ms.ガジェット途中で中断・再開できる仕様なら、拠点管理者が日常業務の合間にeラーニング感覚で訓練を進めやすいですね。
両社の役割分担と今後の展開予定
本サービスは、システムアイとレスキューナウ危機管理研究所の共同開発によって構築されました。各社の役割分担は以下の通りです。
| 担当企業 | 主な担当領域 |
|---|---|
| 株式会社レスキューナウ危機管理研究所 | AIが生成する訓練シナリオの品質基準の策定・設計 |
| 株式会社システムアイ | 基準に基づきシナリオを生成するAIの仕組みをはじめ、Webシステム全体の開発・運用 |
サービスの提供は2026年内に開始される予定で、販売パートナーを通じた販売形態がとられます。販売パートナーには株式会社レスキューナウが予定されています。今後は危機管理コンサルティング会社や防災・災害対策ソリューション提供企業などへのパートナー拡大を図るとともに、風水害をはじめとする地震以外の自然災害への対応も順次検討される予定です。
Mr.ガジェット危機管理の専門機関がシナリオ品質を設計し、システム開発会社が実装を担う分業体制で、まずは地震から提供が始まるロードマップです。
Ms.ガジェット風水害など他の自然災害シナリオへの対応も検討されているとのことなので、今後の対応災害の広がりにも注目したいところです。
利用申し込みと問い合わせ窓口
web-CriSIMの利用申し込みは、販売開始後に販売パートナーにて受け付けが行われる予定です。販売開始までの期間における質問や、販売パートナーとしての参画に関する問い合わせは、システムアイの公式ウェブサイト内のお問い合わせ窓口にて受け付けられています。
Ms.ガジェット販売開始まではシステムアイが窓口で、本番の申し込みは販売パートナー経由という窓口の違いは事前に確認しておきたい点です。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

時間の経過とともに外の情報と自社の情報が混ざって届く仕組みは、焦りやすい実際の現場に近い緊張感を持てそうですね。