株式会社Simulacraは、シードVCのANRIよりプレシードラウンドの資金調達を実施したと発表しました。調達した資金は、人の考え方や行動をAIで再現するデジタルツインの基盤モデル研究開発や、採用を通じた開発体制の強化、企業や自治体との共同研究・共同開発の拡大に充当される予定です。
資金調達の背景と使途
今回の出資は、ANRIが2026年1月に公表した独立系シードVC「ANRI6号ファンド」の運用開始に伴い新設された「ANRIプレシードプログラム」を通じて実行されました。本プログラムは、ANRI本体からプレシード期の起業家へ直接出資を行う取り組みです。

株式会社Simulacraは調達した資金を以下の3点に充てる方針を示しています。
- デジタルツインの基盤モデルの研究開発(人の意思決定の再現精度向上、個人から集団・社会への拡張)
- プロダクトの開発・提供体制の強化(研究員・エンジニア・ビジネスデベロッパーの採用)
- 企業・自治体・研究機関との共同研究およびプロダクト共同開発の拡大(金融・マーケティング・都市・政策領域での意思決定支援)
Mr.ガジェットANRIプレシードプログラムからの出資ということで、初期フェーズの研究開発体制強化に資金が投入されます。
Ms.ガジェット研究開発だけでなく自治体や企業との共同研究拡大も予定されている点が注目されます。
人と社会のデジタルツイン技術と展開領域
株式会社Simulacraは、個人のデジタルツインを多数組み合わせることで、組織や社会全体の反応を再現する「社会のデジタルツイン」の構築を目指しています。新しい施策や制度、商品を実行する前にシミュレーションを行い、意思決定の検証を可能にする方針です。

現在展開されている主なプロダクトおよび技術領域は次の通りです。
- インタビューAI:個人のデジタルツイン作成に特化したAIインタビュアーが、対話を通じて考え方や価値観、暗黙知を引き出して構造化する技術。
- 消費者デジタルツイン:インタビューや行動データから消費者の思考や行動を再現し、商品やサービスに対する反応を探索する環境。
- 経済デジタルツイン:インタビューから生成したペルソナをもとに多数のAIエージェントが相互作用する仮想社会を構築し、施策や制度の影響を検証する基盤。
- 都市デジタルツイン:3D都市モデル上にLLMエージェントを配置し、災害時や観光客来訪時の人流をシミュレーションして対策や施策の検討を支援する仕組み。
設立からの研究実績と学術成果
株式会社Simulacraは、東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 和泉研究室の研究成果を基に2025年9月に設立されました。設立からの1年間において、企業や研究機関との共同研究・開発のほか、オープンソース公開や学会発表などの活動を進めています。
- 2026年4月:LLMエージェントを用いた社会経済シミュレーションプラットフォーム「EconSimulacra」をMITライセンスのオープンソースとして公開
- 国際会議採択:自然言語処理分野の主要国際会議ACL 2026に論文が採択
- 国内学会発表:人工知能学会全国大会(JSAI2026)で4件、言語処理学会年次大会(NLP2026)で2件を発表
- 国家プロジェクト採択:文部科学省・JSTの「AI for Science革新的研究推進事業(ARiSE)」に参画研究課題が採択
Ms.ガジェットACL 2026への採択やオープンソース基盤の公開など、設立1年での学術的な進展もしっかり示されていますね。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

インタビューAIで個人の価値観を抽出し、都市や経済の規模までシミュレーションをつなげていく構成が興味深いです。