データ分析企業Sensor Towerは、韓国ゲーム市場の構造変化とグローバル展開戦略を分析したレポート「2026年韓国のゲーム市場インサイト」を公開しました。韓国モバイルゲーム市場において過去1年間のアプリ内課金(IAP)収益が約50億ドル規模を維持する一方、ダウンロード数の減少に伴いダウンロードあたり収益(RPD)が過去最高を記録したことや、主要パブリッシャーによるPC・コンソール市場での世界展開、クラシックIPの軽量化およびハイブリッド収益化の動向が報告されています。
レポート調査概要と集計条件
本レポートは、Sensor Towerが提供するApp Performance InsightsおよびVideo Game Insights、Playliner(ライブオペレーションインサイト)などのデータをもとに、韓国ゲーム市場の規模推移やパブリッシャー動向を集計・分析したものです。集計データはApp StoreとGoogle Playにおける推定値に基づいており、プリインストール、重複ダウンロード、サードパーティのAndroidマーケットからのダウンロード数は含まれていません。また、中国市場はiOSのみが対象となっています。
Mr.ガジェットApp StoreとGoogle Playの推計値に基づくデータで、サードパーティストアやプリインストール分は除外されている点に留意が必要です。
Ms.ガジェット中国市場がiOSのみ対象になっているなど、集計条件の前提を把握した上で数値を読む必要がありますね。
韓国モバイルゲーム市場の動向:IAP収益50億ドル維持とRPDの過去最高記録
レポートによると、韓国モバイルゲーム市場はユーザー獲得を中心とする規模拡大から、ユーザーの継続や再獲得、ライブオペレーションを軸とした収益化効率の向上へ重心が移行しています。2021年から2026年にかけて、韓国内におけるモバイルゲームのダウンロード数は約5.4億件から3.9億件へと約28%減少しました。一方でIAP収益は約50億ドル近い水準を維持しており、ダウンロードあたりの収益(RPD)は過去最高を記録したと分析されています。

サブジャンル別の動向では、放置RPGにおいて過去12か月間のダウンロード数が前年同期比で30%減少したのに対し、IAP収益は57%増加しました。ユーザー数の拡大に依存せず、長期運営と高い収益化効率によってプレイヤー価値を高める構造への変化が見られます。
Mr.ガジェットダウンロード数が約28%減少した一方でIAP収益が約50億ドルを維持した結果、ダウンロードあたり収益が過去最高を記録しています。
Ms.ガジェットユーザー数の拡大だけでなく、1人あたりの課金効率や継続性を重視する運営モデルへのシフトが数字に表れています。
海外市場への展開:韓国パブリッシャーの収益シェア拡大
韓国のモバイルゲームパブリッシャーにとって、海外市場はユーザー規模拡大と収益成長を支える主要基盤となっています。世界ダウンロード数における海外市場の占有率は、2021年の88%から2026年には92%へと上昇しました。また、IAP収益における海外市場の占有率も44%から49%へと拡大しています。

パブリッシャー別の海外収益では、Nexonが78%増、111%が82%増、Supercentが97%増を記録しました。さらに5minlabやACTIONFITなどの中小規模パブリッシャーも新作タイトルを契機に海外展開を進め、海外収益の成長率がいずれも200%を超えたとされています。
PC・コンソール市場の世界展開とクロスプラットフォーム配信
韓国ゲーム産業のグローバル展開は、モバイル領域にとどまらず高品質なPCおよびコンソールタイトルへ拡大しています。Nexonの決算では、2026年第2四半期における北アメリカおよびヨーロッパ市場の収益が前年同期比170%増加し、その収益増加の80%以上をPC・コンソールビジネスが占めました。
Nexon傘下のEmbark Studiosが開発したオリジナルIPタイトル『ARC Raiders』は、リリースから1年未満でプレミアム収益が6.2億ドルを突破しました。Sensor TowerのVideo Game Insightsデータによると、同期間において世界のPC・コンソールプレミアムゲーム収益ランキングおよび販売本数ランキングで3位となり、オリジナルIPゲームとしては収益・販売本数ともに首位を獲得しました。

KRAFTONでは、2026年第2四半期のPCゲーム収益が前年同期比155.1%増、コンソールゲーム収益が143.3%増となりました。同社の『サブノーティカ2』は、シリーズの特徴である水中探索やサバイバル、基地建設を継承しつつ、最大4人の協力プレイに対応しました。発売前のSteamウィッシュリスト登録数が500万件を突破し、リリース後のSteamにおけるピーク同時接続プレイヤー数は46.8万人を記録、高評価率は継続して90%を超えていると報告されています。

Mr.ガジェットNexonの欧米収益増においてPC・コンソールが8割以上を占めるなど、モバイル中心だった韓国勢のプラットフォーム分散が進んでいます。
Ms.ガジェット『ARC Raiders』のような新規IPや『サブノーティカ2』など、PCや据え置き機で世界的な支持を集める事例が増えていますね。
モバイルタイトルの収益化手法:IP軽量化とハイブリッド収益化
モバイル分野では、クラシックIPの軽量化や広告とIAPを組み合わせたハイブリッド収益化が成長要因として挙げられています。『MapleStory: Idle RPG』は、オート戦闘やオフライン報酬を組み合わせることで操作負荷を下げ、リリースから2か月で世界IAP収益1億ドル、11か月で4.3億ドルに達しました。また、Devsistersの『クッキーラン:クランブル』は2026年第3四半期の収益が2,300万ドルを超え、同四半期の収益成長に寄与しました。

ハイブリッドカジュアル分野では、韓国パブリッシャーの海外IAP収益が過去1年間で倍増しました。Supercentの『XP Hero』は、2026年第1四半期から第3四半期にかけてダウンロード数が1,000万件を突破し、IAP収益が1,500万ドル超、リワード広告などによる広告収益が300万ドル(総収益の17%)に達しました。

111%の『協力TD:ふたりディフェンス』では、アップデートを通じてキャラクター育成やシーズンパス、季節イベントを継続導入し、RPDとIAP収益の拡大を進めています。海外市場での収益は同社の主要作『ラッキー傭兵団』を上回ったとされています。
Ms.ガジェット有名IPの放置RPG化や、課金とリワード広告を組み合わせたハイブリッド収益化が定着しつつある印象を受けます。
ライブオペレーション設計:イベント連携とリテンション
『MapleStory : Idle RPG』の分析では、期間限定の強化素材入手やアバターとステータス報酬の連動、連続ログインミッションなどを組み合わせることで、FOMO(見逃し・取り残されに対する恐怖)効果を活用した継続的なプレイと課金転換が図られている点が指摘されています。成熟したイベントフレームワークを再利用しつつUIや外観を変更することで開発コストを抑制し、ギルド戦では無料での再挑戦を可能にして試行錯誤のコストを下げる設計が採用されています。

Mr.ガジェット期間限定の素材入手やステータス付きアバターの設計を通じて、プレイヤーの継続ログインと課金を促す運用体制が分析されています。
Ms.ガジェットフレームワークを再利用して更新負荷を抑えつつ、ユーザーの離脱を防ぐ工夫が細かく設計されています。
レポートで取り上げられた主なタイトルと実績一覧
本レポートでケーススタディや実績値が言及された主なゲームタイトルと、報告された数値実績は次の通りです。
| タイトル名 | パブリッシャー / 開発 | プラットフォーム / 形態 | 主な公表数値・実績 |
|---|---|---|---|
| ARC Raiders | Nexon / Embark Studios | PC / コンソール | リリース1年未満でプレミアム収益6.2億ドル突破、PC・コンソールプレミアム世界3位 |
| サブノーティカ2 | KRAFTON | PC / コンソール | 発売前Steamウィッシュリスト500万件超、ピーク時同時接続46.8万人、高評価率90%超 |
| MapleStory: Idle RPG | Nexon | モバイル(放置RPG) | リリース2か月で世界IAP収益1億ドル、11か月で4.3億ドル達成 |
| クッキーラン:クランブル | Devsisters | モバイル | 2026年第3四半期収益2,300万ドル超、韓国iOSランキングで首位記録 |
| XP Hero | Supercent | モバイル(ハイブリッドカジュアル) | DL数1,000万件超、IAP収益1,500万ドル超、広告収益300万ドル(総収益の17%) |
| 協力TD:ふたりディフェンス | 111% | モバイル | 海外市場収益が主要ヒット作『ラッキー傭兵団』を超過 |
Ms.ガジェットタイトルごとにプラットフォームや収益モデルが異なっており、各社の戦略の違いが一覧でよく分かります。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。


大手だけでなく中小パブリッシャーでも海外収益が200%以上伸びているタイトルがある点に注目しています。