株式会社QunaSysは、シャープ株式会社と進めている次世代電池材料の探索における量子コンピューティング活用の共同研究について、取り組み内容を公開しました。本研究はNEDOの懸賞金活用型プログラムに採択されたもので、2025年度の検証実績や今後の技術課題が示されています。

共同研究の採択背景と目的
本共同研究は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発」において、「電池材料の探索における量子計算の活用」をテーマに採択された取り組みです。
シャープでは脱炭素社会やサーキュラーエコノミーの実現を目指し、次世代電池の材料開発を推進しています。しかし、電池材料の候補は膨大であり、実験のみで有望な材料を絞り込む手法には多大な時間とコストを要します。化学計算による探索も有力である一方、計算コストの制約により十分な精度や規模での取り扱いが難しいという課題が存在していました。そこで、将来的に従来のコンピュータでは困難だった高精度な物性予測への活用が期待される量子コンピューティングに着目し、量子アルゴリズムに強みを持つQunaSysとの連携を開始しました。
Mr.ガジェットシャープの次世代電池開発における材料探索課題に対し、NEDOの支援枠組みを活用してQunaSysの量子アルゴリズムを導入する試みです。
Ms.ガジェット膨大な候補から実験だけで絞り込むのは大変ですから、計算手法の進化で効率化が進むのか注目したいです。
2025年度の取り組みと研究体制
2025年度の研究では、単に量子アルゴリズムを実行するにとどまらず、材料開発上の課題を計算問題へ落とし込む手法や、従来の化学計算と量子計算の組み合わせ方、得られた計算結果の評価手順といった一連のプロセスを検討しました。
共同研究における役割分担として、シャープは電池材料やデバイス開発に関する知見をもとに「材料開発において何を、どの程度の精度で予測できれば価値につながるか」という視点を提示しています。これに対しQunaSysは、それらを量子計算で扱うための問題設定やアルゴリズム設計、計算モデルの構築、条件設定、結果の解釈を支援しました。小規模な分子モデルを用いて量子計算の適用可能性を検証し、計算数値が材料開発の観点で妥当であるかを評価する知見を蓄積したとしています。
Mr.ガジェット2025年度は小規模分子モデルを使って量子計算を適用し、材料開発の視点から計算結果の妥当性を評価するプロセスが整理されました。
Ms.ガジェットアルゴリズムを動かすだけでなく、実際の材料開発の基準と照らし合わせて妥当性を確かめている点が実践的ですね。
計算対象のスケール拡大と今後の展望
次のフェーズにおける重要テーマとして「計算対象のスケール拡大」が挙げられています。より実用的な物性予測へつなげるため、材料全体から計算上重要な部分を抽出する方法や、問題の分割手法、古典計算と量子計算のハイブリッドな組み合わせ方について技術課題を明確にし、さらなる検討を進める方針です。
将来的には、既知材料を対象とした計算値と実験値の比較検証を通じて予測精度を高め、扱える材料規模や候補数を拡大することを目指しています。古典計算単独では評価が難しい材料に対し、量子計算と古典計算を組み合わせて候補を絞り込み、実際の合成や評価へフィードバックするプロセスへの展開を想定しています。さらに、求める物性を入力することで実現可能な新規材料の候補が提示される開発環境を視野に入れ、量子コンピューティングにAIやシミュレーション技術を融合させた研究開発が期待されています。
Mr.ガジェット今後は計算対象の規模を拡大し、古典計算と量子計算を組み合わせながら、求めた物性から新規材料候補を提示するプロセスの実現を見据えています。
Ms.ガジェット求める物性を入れると候補が出てくる仕組みが実現すれば、電池の安全性や耐久性の向上にもつながりそうですね。
シャープ担当研究者インタビューの公開
今回の共同研究に関して、シャープ株式会社研究開発本部で本取り組みを担当する研究者へのインタビュー記事が公開されました。インタビューでは、共同研究の背景や2025年度の取り組み詳細、QunaSysとの研究体制、今後の技術課題、量子計算を活用した将来の材料開発像について語られています。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

現場の研究者がどのような体制や視点で量子計算の適用に挑んでいるのか、具体的な経緯が気になります。