NTT株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明)は、福岡市内のフィールド環境において、福岡市管工事協同組合と共同で光ファイバセンシング技術を活用した給水管漏水位置特定の実証実験を実施しました。本実証は「福岡市実証実験フルサポート事業」に採択され、福岡市の協力のもとで行われた取り組みです。
実証の背景と課題
全国的に老朽化した水道施設への対応が求められる中、現場では老朽管の漏水箇所を特定する専門的な技術が必要とされています。従来技術では、作業者が人間の耳で聴き取った音を頼りに漏水位置を推定しており、実務上の目標とされる「誤差80cm以内で正解率80%以上」の位置特定技術を習得するには数年の期間を要していました。技術継承の難しさや作業者不足が課題となるなか、効率的な維持管理体制の構築が急務となっていました。
Ms.ガジェット音聴棒などで水音を判別する従来の調査手法は熟練技術者の勘や経験に頼る部分が大きく、技術養成に数年の期間を要していた背景が示されています。
実証実験の成果と特定精度
本実証では、地下30cmから120cmに埋設された給水管直上の地上において漏水に伴う微弱な振動をセンシングし、そのデータをAI解析しました。その結果、短時間で水平誤差75cm以内、正解率88%という高精度での位置推定に成功したと発表しています。

測定から解析までのプロセスは約15分で完了し、専門的な熟練スキルを必要とせずに漏水位置の特定が可能であることが確認されました。漏水修理工事の際に求められる精度目安(誤差80cm以内で正解率80%以上)を上回る結果を示しています。

Ms.ガジェット工事の基準目標である誤差80cm以内・正解率80%に対し、水平誤差75cm以内・正解率88%という数値を達成した点が本実証の具体的な到達水準となります。
採用された技術のポイント
本実証で用いられた技術の主な特徴は以下の2点です。
- 道路に敷くだけで微弱振動を測定:光ファイバセンシングと集積化光ファイバデバイスを用い、高感度な地中振動測定を実施。作業者はデバイスを現場の道路に敷き、5分間の振動測定を行うだけでデータ取得が可能。
- 環境ノイズ下でのAI自動特定:環境ノイズにロバストな漏水振動抽出AIアルゴリズムを導入。解析AIが振動波形を高速処理し、他地点と類似しない特異な振動地点を漏水位置として自動推定。
本実証における光ファイバセンシングには、振動を測定可能な分布型音響センシング技術(DAS: Distributed Acoustic Sensing)が利用されています。DASは光ファイバに入射した光の後方散乱光(レイリー散乱)を観測し、位相やスペクトルの変化から振動や音響の分布を高密度に計測する仕組みです。NTTは独自技術により干渉雑音を抑制した高精度DASを開発しています。また、使用された集積化光ファイバデバイスは、平面上に光ファイバを高密度に配置・集積したDAS用のセンサヘッドであり、高い空間分解能と感度を実現したと説明されています。
Ms.ガジェット道路上にセンサデバイスを敷いて5分間測定する手順となっており、複雑な機器設定や専門技能を省力化する仕組みが採用されています。
実証体制と各組織の役割
本実証における各主体の役割分担は以下の通りです。
- NTT:光ファイバセンシング技術による漏水振動データ計測およびAI解析技術の提供
- 福岡市管工事協同組合:現場環境における給水管情報の確認、掘削による漏水位置の確認作業
Ms.ガジェットNTTによるセンシング・解析技術の提供と、管工事協同組合による実際の掘削確認を組み合わせることで推定結果の検証が行われています。
今後の展開と展示予定
NTTは今後、実証で得られたデータをもとに漏水位置特定AI解析アルゴリズムのさらなる精度向上と、現場における光ファイバセンシング技術の運用性改善を図るとしています。これにより、全国の水道事業者や自治体への導入展開をめざし、漏水探索スキル継承の負担軽減や地域社会インフラの持続的な維持管理に貢献する考えです。
なお、本研究成果は2026年11月18日から25日にかけて開催される「NTT R&D FORUM 2026」にて展示される予定です。
Ms.ガジェット自治体や水道事業者への普及を視野に入れた運用改善が掲げられており、技術成果は2026年11月開催のNTT R&D FORUM 2026で公開される計画です。
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