モビリティ領域のOperating System(Mobility OS)「Park Direct(パークダイレクト)」を運営する株式会社ニーリーは、AIおよびソフトウェア領域への投資を手がけるグローバル大手投資会社Insight Partnersをリード投資家とする総額60億円の第三者割当増資および既存株主による株式譲渡(セカンダリー取引)を実施しました。調達した資金は、既存事業の拡大、Mobility OSとしての新規サービス開発、および不動産管理などの周辺領域への展開に投資されます。その一環として、「スキマ貸し」「PDトランクルーム」「Park Direct for Bicycle」の3つの新サービスの提供を開始します。

シリーズCラウンドの概要と株主構成
本ラウンドの参加投資家は、グローバル大手投資会社のInsight Partnersと、シリーズBラウンドのリード投資家であるゆうちょアセットマネジメント株式会社(※子会社を運営者とするJPSグロース・インベストメント2号投資事業有限責任組合)による追加出資です。合わせて、ニーリーは中長期的な企業価値最大化に向けた資本政策の最適化を目的に、主要株主であるKeyrock Capital Managementをはじめとした既存株主による保有株式の一部譲渡を実施しました。Keyrock Capital Managementは、本ラウンド後も引き続き外部筆頭株主として支援を継続するとしています。
Mr.ガジェット海外の大型投資家であるInsight Partnersがリードに入り、既存の株主も継続して支援する資本構成が示されています。
Ms.ガジェット不動産やモビリティ領域のバーティカルSaaSに対して、国内外からどのような評価が集まっているのか注目したいです。
ニーリーの事業成長と「Mobility OS」の展開
ニーリーの事業状況について、直近4年間でARR(年間経常収益)は40倍を超える規模に伸長し、スタートアップの急成長指標である「T2D3」を上回るペースで推移していると説明しています。法人車両管理ソリューション「Park Direct for Business(PD Biz)」の導入が進んでいるほか、月極駐車場の1日貸しサービス「ワンデイパーク」も開始1年で全国47都道府県での導入が進んでいるとのことです。同社は月極駐車場の契約を通じてドライバーと直接つながっている強みを活かし、訪問介護の駐車スペース不足や物流の路上駐車、EV充電インフラの不足といった課題の解決を目指す「Mobility OS」への進化を進めています。


新サービス1:月極駐車場のCtoCサービス「スキマ貸し」
「スキマ貸し」は、Park Directで管理する月極駐車場の「契約」と、ワンデイパークで扱う「1日単位の予約」を一つの仕組みでつなぎ、契約者が使わない日時を他の利用者に貸し出せるようにするCtoCサービスです。連休の帰省や旅行、平日の日中出庫など、これまで活用できていなかった空き区画の時間を流通させます。本サービスは、Park Directを導入している不動産管理会社を通じて、月極契約の付帯サービスとして提供されます。


Mr.ガジェット月極駐車場の空いている時間帯を、既存の1日貸しサービスと連携させて貸し出せる仕組みですね。
Ms.ガジェット平日の日中や旅行中など、使っていない時間だけをマイページから手軽に出品できるのか運用面が気になります。
「スキマ貸し」の利用手順
契約者が駐車場を利用しない時間を貸し出す際の流れは次の通りです。
- 月極駐車場契約者が、Park Directのマイページから貸し出したい日時を設定
- 設定した日時の空き区画が、ワンデイパークで利用者向けに募集される
- ワンデイパークの利用者が予約・利用し、売上金から所定の手数料を差し引いた金額が契約者に振り込まれる
Ms.ガジェット設定した空き時間がそのままワンデイパークの募集に連動し、手数料を引いて振り込まれる流れは分かりやすいです。
新サービス2:レンタル収納のオンライン契約・管理「PDトランクルーム」
「PDトランクルーム」は、Park Directで培った空間アセットのデジタル化ノウハウを応用した不動産領域向けの新サービスです。トランクルームやコンテナなどのレンタル収納スペースについて、募集からオンライン契約、決済、更新・解約、日々の問い合わせ対応までを一括代行し、管理業務をオンラインで完結できるようにします。寒冷地でスタッドレスタイヤの保管場所として月極駐車場とトランクルームを併せて貸し出すニーズがあるなど、モビリティ領域との親和性も踏まえて展開されます。
Mr.ガジェット毎月継続して区画を貸し出すビジネス構造が月極駐車場と共通している点に着目した横展開です。
Ms.ガジェットタイヤ保管など車と収納の併用ニーズもあるので、駐車場と同じ基盤で管理できるのは合理的だと感じます。
収納サービス(レンタル収納・コンテナ収納)市場に関する調査を実施(2025年)と主な特長
株式会社矢野経済研究所の調査資料「収納サービス(レンタル収納・コンテナ収納)市場に関する調査を実施(2025年)」(2025年5月9日発表)によると、国内の収納サービス市場は拡大を続け、2025年度には917億円超の市場規模に達する見込みとされています。「PDトランクルーム」では、空室の問い合わせから契約完了までを自動化し、管理会社は最終審査のみを担当します。賃料の請求・決済や督促、一次対応に加え、賃料保証や長期間連絡不能時の残置物撤去対応・費用保証も備えています。借主はスマートフォンやPCで検索から契約まで完結でき、クレジットカード決済に対応するほか、全国2,000種以上の店舗で使える特典クーポンも提供されます。
Ms.ガジェット契約や決済だけでなく、残置物の撤去対応や費用保証まで代行に含まれていると管理会社の負担が減りそうですね。
新サービス3:駐輪場オンライン契約・一元管理「Park Direct for Bicycle」
「Park Direct for Bicycle」は、マンションやアパートなどの管理物件に併設された駐輪場の契約・管理をオンライン化し、Park Direct上で駐車場と一元管理できるようにするサービスです。集合住宅において別々に管理されていた駐輪場の空き待ち対応や利用料回収、利用シール発行といったアナログ業務を一元化したいという不動産管理会社からの要望をもとに開発されました。
Mr.ガジェット集合住宅に併設されがちな駐輪場を、駐車場と一緒に同一システム上で管理できるようにしたサービスです。
Ms.ガジェットシールの発行や空き待ちの管理など、別々に行われていたアナログ業務が一元化されるのは助かりそうです。
国民生活5月号の統計と「Park Direct for Bicycle」の特長
国民生活センター「国民生活5月号」(2023年5月15日発行)によると、日本の自転車総保有台数は5,000万台以上とされ、駐輪場不足や放置自転車が課題となっています。「Park Direct for Bicycle」では、満空状況のシステム管理や空き待ち予約の自動対応を行い、申込から契約、賃料回収・督促、一次問い合わせまでをPark Directが代行します。管理会社の対応は契約承認とシール受渡のみとなり、シールの作成・郵送代行にも対応します。また、駅近や住宅密集地などの立地特性に応じた価格設定で空き区画の外部貸出を行うことで新たな財源を創出し、契約状況の可視化により放置自転車の抑止を図ります。
Ms.ガジェット空き区画を外部貸出にして新たな財源にする工夫や、契約可視化で放置自転車を抑止する取り組みが目を引きます。
令和8年7月末の自動車保有車両数と将来の事業展望
代表取締役の佐藤 養太氏はコメントにおいて、国土交通省の「令和8年7月末の自動車保有車両数」として示されている稼働車両約8,300万台に触れ、将来的にその全ての車に対して価値提供していくようなサービスやプロダクトを目指す姿勢を示しました。既存事業のさらなる拡大や新規事業創出に向け、全職種での採用強化も進めるとしています。
Ms.ガジェット全国で稼働する膨大な車両数を見据えて、駐車場からモビリティインフラ全体へどう価値を広げていくか期待したいです。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

ARRの拡大だけでなく、訪問介護や物流の駐車問題といったインフラ課題の解決へ視野を広げている点が興味深いです。