三菱電機株式会社、株式会社三菱UFJ銀行、英Climate Investmentの3社は、衛星を用いた温室効果ガス(GHG)観測事業を展開するカナダのGHGSat Incorporatedが発行するConvertible Noteへ2026年10月に投資を実施したことを明らかにしました。
GHGSatは2011年12月に設立された宇宙からのGHGリモートセンシング企業です。独自の特許取得済みセンサー技術を搭載した観測衛星コンステレーションを運用し、メタンおよび二酸化炭素の排出を高解像度で検知することで、世界中の施設単位における排出状況の把握を実現しています。
広域衛星と局所衛星を連動させる「Tip&Cue」運用
地球温暖化抑制に向けて、二酸化炭素よりも温室効果が高いLNG主成分のメタンをはじめ、排出源の早期把握と排出実態の透明性向上が求められています。こうした課題に対し、三菱電機、三菱UFJ銀行、衛星データサービス株式会社、GHGSatの4社は、2024年11月に衛星データを利用したGHG排出量可視化に関するパートナーシップ契約を締結しました。
4社は、2025年6月29日に打ち上げられた広域観測衛星「いぶきGW」(温室効果ガス・水循環観測技術衛星:GOSAT-GW)と、局所観測を得意とするGHGSatの衛星コンステレーションを組み合わせたサービス構築を進めています。いぶきGWの広域観測で排出疑いエリアを特定して排出源のヒント(Tip)を取得し、GHGSatの衛星へ観測要求(Cue)を送って高解像度で局所観測を行う「Tip&Cue」運用により、効率的な排出源特定と測定を図ります。この事業化に向けた技術実証は、三菱電機を契約者として、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の2026年度技術検証事業に採択されています。

Mr.ガジェット広域を捉えるJAXA衛星と、高解像度でピンポイント測定できる民間コンステレーションの組み合わせは、役割分担が合理的ですね。
Ms.ガジェット広域で当たりをつけてからピンポイントで指示を出す仕組みなら、施設ごとのメタン漏れも素早く確認できそうです。
出資3社の背景と役割
今回のConvertible Note発行に対する投資では、各社がそれぞれの戦略に基づいて支援を行っています。
三菱電機は観測衛星の開発・製造や運用、データ解析技術を活かし、衛星データによる社会課題解決サービスの創出を進めています。今回の出資を通じて、データの取得から解析、サービス提供に至る事業基盤を強化し、排出源特定・測定サービスの社会実装を加速させる方針です。
三菱UFJ銀行は、脱炭素に向けた取り組みの透明性向上と健全な市場形成を目的に出資を行いました。同行の投資はGHGSatが策定したGreen Finance Frameworkに則ったGreen Convertible Noteへの投資であり、フレームワークの策定支援も行っています。同フレームワークのグリーンローン原則(GLP)への適合については、DNVビジネス・アシュアランス・ジャパンから第三者意見書を取得しています。
英ロンドンに本社を置くClimate Investmentは、石油・ガス気候イニシアティブ(OGCI)加盟企業によって設立された脱炭素技術専門の独立系投資会社です。総額18億米ドルのコミットメント資本を運用しており、GHGSatへの出資を通じて気候変動抑制技術の普及を後押ししています。
MEイノベーションファンドを通じた出資枠組み
三菱電機によるGHGSatへの出資は、同社がグローバル・ブレイン株式会社と共同で運営するコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンド「MEイノベーションファンド」を通じて実行されました。
同ファンドを活用することで、スタートアップが持つリモートセンシング技術と三菱電機の宇宙事業基盤を組み合わせ、社会課題解決に向けたオープンイノベーションを推進する狙いがあります。
Ms.ガジェット三菱電機が自社のCVCファンドを通じて海外の宇宙気候テック企業と直接つながる動きに注目したいところです。
GHGSat Incorporatedの企業概要
出資対象となったGHGSat Incorporatedの基本情報は次の通り公表されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称 | GHGSat Incorporated |
| 所在地 | 1130 Sherbrooke Street West, 15th floor, Montreal, Quebec, Canada |
| 代表者 | Stephane Germain, CEO & President |
| 設立 | 2011年12月 |
| 主要事業 | 衛星・航空機を用いたメタン・二酸化炭素観測事業 |
Ms.ガジェット2011年から宇宙からの温室効果ガス観測に取り組んできた実績があり、日次レベルでの漏えい測定技術の進展に期待が高まります。
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製造メーカーだけでなく銀行や特化型投資ファンドも参画して、グリーンファイナンスの枠組みを整えている点が興味深いです。