株式会社MatrixFlowは2026年11月5日、同社の未来予測AIプラットフォーム「MatrixFlow」を生成AIアシスタントから直接操作可能にする「公式MCPサーバー」の提供を開始しました。これまでは出荷数や売上などの未来予測AIを構築するにあたり、課題の聞き取りからデータ選定、手法選定、学習、精度検証までに数週間を要したり、外注費用が発生したりしていました。今回の公式MCPサーバーの公開により、ChatGPT、Claude、Gemini、CopilotといったAIアシスタントとの会話の中でデータを渡し、学習から予測実行までを行える環境を提供します。

MCP連携の仕組みと「AI構築AI」構想
MCP(Model Context Protocol)は、AIアシスタントが外部のサービスやツールを操作するための共通規格です。MatrixFlowが提供する公式MCPサーバーへAIアシスタントを接続することで、生成AI側からMatrixFlowの機能を呼び出せるようになります。利用者が「来週の発注量は?」と尋ねると、生成AIがMatrixFlowの未来予測AIに問い合わせを行い、算出された予測結果を対話内で回答する仕組みです。

MatrixFlowでは、相談を受けた段階でAI自身が未来予測AIを組み立てる「AI構築AI」を構想しています。この構想は、課題を解釈する「STEP 1」、過去の実績から手法を選ぶ「STEP 2」、MatrixFlowを操作してAIを構築する「STEP 3」の3段階で構成されており、今回の公式MCPサーバー提供は3ステップ目を動作させる接続部分にあたります。STEP 1とSTEP 2には、同社が蓄積してきた30件以上のAIプロジェクト実績と運用知見が反映されます。

Mr.ガジェット生成AI単体では難しい自社データの時系列学習を、共通規格のMCP経由で外部エンジンに委ねる形ですね。
Ms.ガジェットチャット画面から離れずに外部の予測モデルを直接呼び出せるようになるのは扱いやすそうです。
対話形式で行える操作と接続仕様
公式MCPサーバーを接続したAIアシスタント上では、以下の操作を対話の中で実行できます。
- CSVファイルを渡してデータセットとして登録し、列の型や欠損状況を確認
- 予測したい列を指定してAIモデルを学習させ、進行状況と精度を確認
- 学習済みAIで予測を実行し、結果を対話内で受け取る
- 時系列予測において指定した期間の予測値と上限・下限値を取得
- 目標値と制約条件を提示し、条件を満たす入力の組み合わせを探索(最適化)
- 操作方法が不明な場合にMatrixFlowのマニュアルを検索して該当ページを表示
会話を通じて作成したプロジェクトや学習済みAIは、従来のMatrixFlow管理画面からも確認や編集が可能です。接続先URLは「https://mcp.ai.matrixflow.net/mcp」となっており、各AIアシスタントの設定画面でURLを登録した上で、MatrixFlowのログイン画面から利用許可を行うことで連携できます。
AIアシスタント「Claude」での実際の操作手順
部品メーカーの月次発注数を予測する例として、ClaudeからMatrixFlowを操作する3段階のやり取りが公開されています。まず「学習」段階では、実績データのCSVファイルを添付して学習を依頼すると、MatrixFlowにデータが登録され、時系列予測モデル「MFTransformerV2」による学習が開始されます。

次に「分析」段階として、学習完了後に情報の可視化を依頼すると、予測の精度やどの要因が予測に寄与しているかを示す特徴量重要度などが会話画面内に提示されます。

最後の「予測とレポート」段階では、予測対象期間のCSVファイルを渡して指示を出すことで、予測値、上限・下限、精度、注意点をまとめたレポートが出力されます。公開された事例では、テスト期間における平均絶対誤差(MAE)が平均発注数の約3%となったことが示されています。

Mr.ガジェットMFTransformerV2での学習からレポート作成まで、すべて対話ログの中で視覚化されています。
Ms.ガジェット精度だけでなく、どの要因が効いているかまでチャット上でレポート化されるのは分かりやすいですね。
データ保護とセキュリティ設計
外部AIサービスと連携するにあたり、自社データを安全に運用するためのセキュリティ設計が導入されています。
- OAuth 2.1による接続認証:利用者がMatrixFlowへログインして確認画面で許可を行い、AIアシスタント側へパスワードを渡さない構成
- 必要時点での権限追加:接続直後は閲覧・作成・推論の3権限のみを付与し、AIの学習操作はその都度利用者が追加許可
- データ削除機能の非提供:誤操作によるデータ消失を防ぐため、データやモデルを削除するツールを未提供
- アカウントごとのデータ分離:アカウント単位で接続を分離し、他ユーザーのデータを参照不可に設計
- 接続解除機能:MatrixFlow設定画面の「接続中のアプリ」から随時連携解除が可能
Ms.ガジェット初期接続では閲覧や推論に絞られ、学習のたびに確認を挟む権限設計なら意図しない実行を防ぎやすそうです。
想定される主な活用シーン
MatrixFlowは異常検知や最適化などの用途に対応していますが、会話形式で作成した未来予測AIは特に需要予測分野において以下のような業務へ適用可能です。
- 適正在庫管理:過剰在庫と欠品のリスクを低減し、キャッシュフローを最適化
- 適切な要員計画:物量予測に基づき、工場や倉庫の要員計画を最適化(スマイルボードコネクトとの連携例など)
- 適切な車両手配:倉庫から店舗や別倉庫への輸配送において、車両の過剰手配を抑制
- 仕入れ・発注計画:需要予測により原材料コストの削減と安定供給を支援
- 製造・生産計画:設備の稼働率向上やリードタイム短縮による生産性の最適化
- 売上予測:リソースの最適配分を通じた売上向上
Ms.ガジェット在庫や人員計画の調整など、日々の数字を見ながらチャットで予測を確かめたい場面に合いそうです。
今後の展開とMatrixFlow概要
同社は今後、ClaudeやChatGPTの公式ディレクトリへの掲載を目指すほか、Microsoft 365 Copilotなど対応するAIアシスタントの拡充を予定しています。また、課題解釈(STEP 1)や手法選定(STEP 2)をAI自身に任せる仕組みの開発も継続して進める方針です。
MatrixFlowは、プログラミングを行わずに操作できる未来予測AIプラットフォームとして2019年に提供を開始しました。自動機械学習エンジン「AutoFlow」や需要予測モデル「MFTransformerV2」を備え、製造業、食品飲料、製薬、通信などの業種で導入されています。
Mr.ガジェットディレクトリ掲載や対応アシスタントの追加が進めば、より普段使っている環境から直接接続しやすくなりますね。
Ms.ガジェット課題の解釈から手法選びまで自動化が進むと、専門知識がない状態でもさらに試行しやすくなりそうです。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

CSVを投げかけて欠損値の確認やモデル学習まで会話の流れで進められる点は手軽に感じます。