株式会社ナレッジワークは、自社のAI研究開発の取り組みがAmazon Web Services(AWS)のグローバルプログラム「AWS Startups Custom-Model Inference Fellowship」に採択されたことを発表しました。アジアパシフィック地域で行われた公募において日本国内から採択された4社のうちの1社となります。
同社のAI研究開発組織では、音声領域および自然言語処理領域を中心とした研究開発を進めるとともに、営業領域に特化したLLMの開発を実施しています。今回の採択は金融業界向けの特化モデルの推論をテーマとしており、本プログラムの支援を通じて業界特化LLMを低コストかつ安全に営業現場へ届ける体制を整える方針です。

AWS Startups Custom-Model Inference Fellowshipの概要
「AWS Startups Custom-Model Inference Fellowship」は、セルフホスティングの推論(Inference)ワークロードを運用するスタートアップを対象としたAWSによる招待制プログラムです。Llama、Qwen、DeepSeekといったオープンウェイトモデルや自社開発モデルによる推論を行う企業を主な対象に位置付けています。
採択された企業は12週間にわたり、AWSの推論スペシャリストによる伴走支援を受けながら自社環境における推論スタックの最適化に取り組みます。

Mr.ガジェットセルフホスティング推論を行うスタートアップを対象に、12週間にわたってAWSの推論スペシャリストが技術支援を行う枠組みです。
Ms.ガジェット社内環境でオープンウェイトモデルや独自モデルを低コストに動かす技術最適化が進みそうですね。
CAIO 山崎はずむ氏のコメントと略歴
ナレッジワークのCAIO(Chief AI Officer)を務める山崎はずむ氏は、採択に際して金融機関向けの推論基盤に関するコメントを発表しました。金融業界の営業現場では精度の高い回答を機密情報が外部へ流出しない安全な環境で提供することが不可欠であるとし、AWSのスペシャリストによる支援を通じて安定性と可用性を備えた高信頼な推論基盤の実現に取り組む姿勢を示しています。
山崎氏は東京大学大学院総合文化研究科博士課程を満期退学後、ニューヨーク大学大学院特別研究員を経て、商談記録AI「JamRoll」を提供するPoeticsの代表取締役に就任しました。2025年にPoeticsをナレッジワークへ売却したことで同社に参画しています。国際的なピッチコンテストで6度の優勝実績を持ち、日経BP発行の書籍『アフターAI』ではゲスト解説を担当しました。

プログラムに参加する研究開発メンバーの略歴
エキスパート AIエンジニア 油井 誠氏
エキスパート AIエンジニアを務める油井誠氏は、奈良先端科学技術大学院大学博士課程を修了した工学博士です。日本学術振興会特別研究員、オランダCWI客員研究員、産業技術総合研究所主任研究員を経て、2015年にトレジャーデータ株式会社へ入社しシニアプリンシパルエンジニアを務めました。2026年に株式会社ナレッジワークへ入社しています。機械学習ライブラリ「Apache Hivemall」の開発者であり、IPA未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータの認定歴を有します。

Mr.ガジェット機械学習ライブラリApache Hivemallの開発実績や産総研での経歴など、大規模データ処理基盤の設計に精通したエンジニアが参加しています。
Ms.ガジェット学術研究から大規模データの実務基盤まで手掛けられてきた方が推論環境の設計を担当されるのは頼もしいですね。
AIリサーチャー 金 泰仁氏
AIリサーチャーを務める金泰仁(キム・テイン)氏は、2022年にインハ大学大学院電子工学科電子工学専攻修士課程を修了しました。複数企業で画像処理やセキュリティ、バックエンド系開発に従事した後、2025年に株式会社Poeticsへ研究職として入社しています。同年に株式会社ナレッジワークへ入社し、引き続き研究職としてAIの研究開発に携わっています。

Ms.ガジェット画像処理やバックエンド開発からPoeticsでの商談AI研究を経て合流された経歴に注目しています。
株式会社ナレッジワークの概要とソリューション展開
株式会社ナレッジワークは「LIFE WITH ENABLEMENT できる喜びが巡る日々を届ける」をミッションに掲げ、2020年3月18日に設立された企業です(創業日は2020年4月1日、CEO:麻野耕司、本社:東京都港区麻布台1丁目3-1 麻布台ヒルズ 森JPタワー 51階)。
同社はセールスAIエージェントを通じた営業生産性の向上を目指し、以下の3つのソリューションを展開しています。
・顧客の営業業務に合わせてAIエージェントの構築・運用を支援する「セールスAXコンサルティングシリーズ」
・標準的な営業業務に対応するAIエージェントを迅速に提供する「セールスAIプロダクトシリーズ」
・高精度なAIエージェントを提供するための基盤となる「セールスAIエージェントOSシリーズ」
これらのサービスはNTTドコモビジネス、みずほ銀行、日清食品などの大手企業において数千名規模で導入されています。
Mr.ガジェット営業支援向けにコンサルティング、プロダクト、基盤OSの3軸でAIエージェントソリューションを展開している点が特徴です。
Ms.ガジェットメガバンクや大手食品メーカーなど数千名規模の導入実績がある中で、金融特化モデルがどう組み込まれていくのか気になります。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

誤りが許されない金融機関の現場だからこそ、社外にデータを出さない安全な運用環境が求められている背景がよく分かります。