JAPAN AI株式会社は2026年11月6日、企業がAIとの対話を通じて顧客対応フローを作成し、指定したステップでAIを活用できるサービス「JAPAN AI CX」の提供を開始したと発表しました。Webサイトの埋め込みチャットやLINEに対応し、予約や申込の受付から業務ツールへの登録までを単一のフローで処理します。
「JAPAN AI CX」の概要と開発の背景
生成AIを活用したチャットボットでは、会話の進行や業務ツールの操作を大規模言語モデル(LLM)の判断に委ねる場合があり、決められた手順の遵守や入力内容の確認が求められる予約・申込業務への適用が課題とされていました。一方で従来のシナリオ型チャットボットは、手順に沿った対応ができるものの、会話の分岐を手作業ですべて設計・設定する必要がありました。
「JAPAN AI CX」は、担当者が事前に確認したフローに沿って会話を進め、自由入力の理解や回答文の生成など指定したステップでのみAIを活用する仕組みを採用しています。業務ツールの呼び出しも各ステップで許可された範囲に限定され、確実な手順遂行とAIの柔軟な応答の両立を図っています。

Mr.ガジェット全面的なLLM任せにせず、指定したステップのみAIを動かすという設計が特徴的です。
Ms.ガジェット予約や申し込みのような手続きはミスが起きると困るので、決められた手順を通す形だと業務で使いやすそうに思えます。
従来のチャットボット方式との比較
同社は「JAPAN AI CX」と、従来の「シナリオ型」および「LLM主導型AIチャットボット」の違いについて、会話進行、自由入力対応、手順、作成・保守、公開までの期間、AI利用コストの6点で整理して公表しています。
| 比較項目 | シナリオ型 | LLM主導型AIチャットボット | JAPAN AI CX |
|---|---|---|---|
| 会話の進行を決めるもの | 人が作った分岐 | LLMが毎回判断 | 担当者が確認したフロー |
| 自由入力への対応 | 苦手 | 得意 | AIステップで対応 |
| 予約・申込などの手順 | 確実 | プロンプトでの指示に依存 | 決めた順番・入力チェックどおり |
| 作成・保守 | 全分岐を人手で | プロンプト調整 | AIと相談して作成、公開前に自動チェック |
| 公開までの期間 | 長い(全分岐を作ってから公開) | 短い(プロンプトを書けば公開) | 短い(AIと相談してつくる) |
| AIの利用コスト | かからない(AIを使わない) | 応答のたびに発生(会話が長いほど増える) | AIステップでのみ発生(場面は担当者が指定) |

「JAPAN AI CX」の主要機能
AIとの対話によるフロー作成と改善機能
フローの作成では、担当者が「問い合わせ内容を確認してからフォームへ進めたい」といった要望を入力すると、CX Assistanceがフローの構成案と各ステップの役割を提示します。担当者は処理の流れを図で編集できる「グラフビルダー」上で提案内容を確認し、修正を加えて保存できます。
公開前の検証機能として、未接続の箇所や行き止まりになっているステップを自動で検知するチェック機能を搭載しています。さらに公開後は、会話数や各ステップの進行状況、設定したゴール地点への到達状況を管理画面で確認でき、案内文や入力項目の改善に活用可能です。

Ms.ガジェット対話で大枠を作れるだけでなく、公開前に未接続や行き止まりを自動チェックしてくれる機能は設定ミスの防止に助かりそうです。
LLM応答とルール処理の組み合わせ設計
顧客対応のステップごとに処理方式を選択可能です。相談内容の理解や回答文の生成にはLLMを割り当て、固定メッセージや選択肢、入力フォーム、条件分岐には定型処理を設定できます。
また、製品情報のファイルやFAQのURLを登録したデータセットをRAG(検索拡張生成)ステップに接続することで、社内資料を参照した回答フローを構築できます。データ登録元や取り込み状況、参照先の管理に対応するほか、参照資料に回答がない場合は追加質問や別窓口への案内へ分岐させる設定も可能です。

Mr.ガジェットステップごとに定型処理とLLMを切り替えられるため、API利用コストの抑制にもつながる構造です。
Ms.ガジェット社内資料に載っていない質問だった場合に、別の窓口案内へ分岐させられる設定が組み込める点も実務的ですね。
業務ツール連携とマルチチャネル展開
メール、カレンダー、ドキュメント、CRMなど接続済みの各種業務ツールをフロー内から呼び出し、情報の参照や操作を行えます。企業独自の処理に向けては、APIを呼び出すカスタムブロックが用意されており、受け取った結果を後続ステップで活用できます。認証が必要なAPIに対しても認証情報をフローへ直接記載せずに接続できる仕様で、APIブロックを作成できるユーザーの権限管理にも対応します。利用可能な操作範囲は各サービスの仕様や契約、権限設定に準じます。
対応チャネルはWebサイト埋め込み用のiframeとLINEの2種類です。iframeでは会話の横にカードやグラフ、フォームを表示でき、LINEでは問い合わせフォームへの案内が行えます。入力内容の確認、修正、キャンセル処理も1つのフロー内に統合可能です。表示や機能の対応範囲はチャネルにより異なり、対応チャネルは今後も追加される予定となっています。

Ms.ガジェットWebサイトの埋め込みだけでなくLINEにも対応していて、CRMやカレンダー登録まで1本のフローでつながる範囲の広さに注目しています。
提供予定の料金体系と導入案内
今後の展開として、問い合わせの解決や予約・申込の完了など、フローごとに設定したゴール地点への到達を成果とみなす「成果に応じた料金体系」の提供が予定されています。成果とする基準地点は導入企業との協議により決定され、到達状況は公開後の確認画面で集計されます。
「JAPAN AI CX」は即時利用可能な状態で提供が開始されており、導入相談やデモの受付、利用環境との接続に関する問い合わせは同社の問い合わせフォームにて受け付けられています。
Mr.ガジェット問い合わせ解決や予約完了といった成果地点に応じた課金体系が計画されている点も興味深い方針です。
Ms.ガジェットどこを成果地点とするかを個別相談で設定できるそうなので、自社の運用に合わせた柔軟なプランになるのか気になります。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

シナリオ型の確実さと生成AIの柔軟さの間で、コストや管理の手間がどう変わるかが整理されていて違いが掴みやすいです。