株式会社アイリッジは、全国地方銀行協会加盟の61行および第二地方銀行協会加盟の34行の計95行を対象とした「AI検索実態調査2026 地方銀行編」の結果を公表しました。ChatGPT、Gemini、Perplexityの3つの生成AIに対して計5,607回の質問を行い、可読性・正確性・推奨性の3軸で検証したところ、判定可能な金利回答のうち公表値と一致したのは77.1パーセントにとどまり、住宅ローンの不一致回答では実態より高い金利が提示されるなど、不一致回答全体の約7割が顧客にとって不利な数値となっていたと報告しています。
地方銀行95行を対象としたAI検索実態調査の概要
今回の調査は、企業のOMOアプリ開発やマーケティング支援を手がける株式会社アイリッジが実施したものです。全国地方銀行協会61行と第二地方銀行協会34行の全95行を対象とし、生成AIが銀行の公式サイトを正確に読み取り、正しい情報を提示し、推薦の選択肢に入れているかを横並びで検証しています。
- 調査名:AI検索実態調査2026 地方銀行編
- 調査対象:全国地方銀行協会61行、第二地方銀行協会34行の計95行(全数)
- 対象AI:ChatGPT、Gemini、Perplexity(API経由、Web検索有効、位置情報なし)
- 質問回数:計5,607回(うち3,132回で本店所在地の市を指定、各AIに3回ずつ質問)
- 調査時期:サイト機械チェックは2026年8月26〜27日、AIへの質問は2026年9月16〜17日、公表値取得は2026年9月17日
Mr.ガジェット全国の地銀95行を網羅し、主要な3つの生成AIに対して合計5,607回もの質問を行って検証した全数調査となっています。
Ms.ガジェット網羅的な全数調査だからこそ、各AIの回答傾向や銀行側の現状がはっきりと見えてきそうですね。
公式サイトのAI可読性:巡回可能は92行も構造化データ対応は2割
95行の公式サイトに対する機械チェックでは、92行でAIの巡回プログラム(クローラー)によるアクセスが可能であり、情報の読み取り自体が行える状態であることが確認されました。AI可読性スコアの中央値は100点満点中94点となっています。アクセスできなかった3行についても、robots.txtでAIの利用を拒否した設定ではなく、セキュリティ製品の制御によるものと分析されています。

一方で、AIに自社情報を正確に理解させる仕組みである構造化データ(JSON-LD)を導入している銀行は22行にとどまりました。さらにFAQの構造化に対応していたのは8行でした。また、代表的な商品ページのテキスト内に金利の数値が見当たらない銀行が37行存在しており、画像のみでの掲載や判定不能な状態が機械的な情報取得を妨げている要因として挙げられています。
Mr.ガジェットクローラーのアクセス自体はほぼ全行で可能でしたが、AIが意味を正確に把握するための構造化データやテキスト金利の整備には大きな開きがあります。
Ms.ガジェット画像だけに数値を掲載しているとAIが読み取れないという点は、Web設計の盲点になりやすいと感じました。
金利回答の正確性:住宅ローン金利の約2割が不一致で実態より不利な傾向
住宅ローン変動金利および定期預金1年金利についてAIに質問し、2026年9月17日に取得した公式サイトの公表値190件と照合したところ、判定できた1,600件のうち公表値と一致したのは77.1パーセントでした。商品別の一致率は住宅ローンが79.3パーセント、定期預金が75.2パーセントとなっています。AI別の一致率ではGeminiが82.6パーセントと最も高く、Perplexityが77.9パーセント、ChatGPTが70.7パーセントと続きました。

誤答の内訳では、指定と異なる基準金利やキャンペーン金利などの別の公表値を答えたケースが16.3パーセント、どの公表値とも一致しない数字を答えたケースが6.6パーセントでした。誤答の傾向として、ChatGPTは別の公表値を提示する事例が多く、Perplexityはどの公表値とも合致しない数値を答える事例が最多となっています。また、不一致回答のうち9割は公式サイトを引用元として明記しているにもかかわらず数字が異なっており、引用されたページに掲載されていない数値が出力されるケースも確認されました。
不一致となった366件の回答内容を分析した結果、全体の71パーセントが顧客にとって実態より劣る方向となっていました。具体的には、住宅ローンでは優遇適用前の基準金利など本来より高い数値を案内し、定期預金では実際の公表値より低い金利を出力するパターンが多く見られたと報告されています。
Mr.ガジェットAIが公式ページを引用元としながらも、優遇前の基準金利を拾うなどして7割以上が不利な数字になっていた点が大きな特徴です。
Ms.ガジェット公式サイトへのリンクが付いていても誤った数字が出ている場合があるなら、ユーザー側も必ず元ページを直接確認しないといけませんね。
推奨性と部門別評価:特定部門での首位獲得と相続分野での課題
各銀行の本店所在地(市)を指定し、「おすすめの銀行」としてAIが何番目に名前を挙げるかをスコア化した検証(常に1番手で指名されれば100点満点)では、総合順位と部門別の結果に差異が見られました。5部門のトータルスコア上位10行であっても、すべての部門で満点を獲得している銀行はありませんでした。

一方で、特定部門において100点満点(常に地元で1番手指名)を獲得した銀行は全国に分散しています。トータル順位が中位や下位の銀行であっても、部門を絞ることで首位を獲得している実態が明らかになりました。
| 部門名 | 満点(100点)獲得行数 | うち上位10行以外の行数 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 口座開設 | 33行 | 24行 | 満点獲得数が最も多い部門 |
| メインバンク | 22行 | 15行 | 上位10行以外からも15行が首位を獲得 |
| 住宅ローン | 13行 | 8行 | 総合上位行以外でも8行が満点 |
| 退職金 | 6行 | 3行 | 総合51位(67点)の銀行が満点を獲得した事例あり |
| 定期預金 | 0行 | — | 地銀以外が優先提示される傾向が強く、最高点は93点(総合44位行) |
他方で、最も改善の余地が大きい分野として「相続」が挙げられています。「◯◯市で相続でまずどこに相談すればよいですか?」という質問(58都市×3AI×3回=計522回)を実施したところ、地方銀行が推奨された回答は0件でした。AIの回答は弁護士、司法書士、税理士、自治体窓口の提示にとどまっており、地方銀行の注力分野でありながらAI検索上での認知獲得が進んでいない実態が示されています。
Mr.ガジェット総合上位でなくても特定分野なら1位になれる一方で、相続相談ではAIから地銀の名前が一切挙がらないという極端な結果が出ています。
Ms.ガジェット強みを尖らせればAIに選ばれるチャンスがある反面、相続のような相談先としてはAIに認識すらされていないギャップが印象的です。
ホワイトペーパーダウンロードのご案内
本調査の全編を収録したホワイトペーパーは、アイリッジの公開ウェブサイトより無料でダウンロード提供されています。また同社は、地方銀行向けに自行のAI指名スコアや同一市内の競合との差異をまとめた個別分析シートの案内も実施しています。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

競合との差や具体的な改善点が気になる担当者にとって、詳細な個別データが確認できるシートは役立ちそうです。