株式会社EpicAIは、製造業の設計および品質保証業務に特化したAI Agent Platform「DR Agent」について、国内大手製造業を中心とした検証企業数が20社を突破したと発表しました。国内大手とのPoC(概念実証)では、従来の設計レビューで発見されていなかった不具合リスクを1仕様書あたり10件以上抽出したほか、人手では200時間を要するDRBFM(Design Review Based on Failure Mode)の生成を約10分で実施するなど、設計品質の高度化と業務効率化に関する可能性を確認したとしています。
「DR Agent」の概要と支援機能
DR Agentは、製造業の設計・品質保証業務に特化したAI Agentです。製品仕様書、設計情報、過去の不具合情報、企業固有の品質基準などをもとに、上流工程で潜在的な不具合リスクを洗い出します。設計や工程におけるDRBFM、FMEA(Failure Mode and Effects Analysis)、FTA(Fault Tree Analysis)の作成、履歴管理、修正プロセス全体の支援を行います。また、設計レビューや品質ナレッジの蓄積・共有も支援対象としています。主な対象業界として自動車、半導体、重工業、電子機器などが挙げられています。

Mr.ガジェット仕様書や過去の不具合情報を参照し、DRBFMやFMEAの作成から履歴管理までカバーする構成です。
Ms.ガジェット過去の社内データをどの程度まで読み込ませて網羅性を担保できるのかが実務上の関心点になります。
国内大手製造業20社超との検証と知見収集
DR Agentは、自動車や半導体をはじめとする国内大手製造業との検証を重ね、実際の設計・品質保証業務における有効性を検証してきました。これまでに20社超との検証を実施したほか、国内大手製造業の品質管理担当者から500時間以上にわたり、不具合リスクの洗い出し方や設計レビューの判断基準に関する知見を収集してきました。プラットフォーム構築に向けては、多数の企業との検証に加え、EpicAI社内でも熟練の品質・設計担当者とともに研究開発を行っていると説明しています。

PoCにおける主な検証結果
国内大手製造業とのPoCにおいて公表された主な検証結果は以下のとおりです。なお、各数値は個別のPoC・検証条件に基づく結果であり、すべての対象製品や業務で同様の効果を保証するものではないと注記されています。

- 未発見リスクの抽出: 人間によるレビューで見つけられていなかった不具合リスクを、1仕様書あたり10件以上抽出
- リスク抽出の網羅性: 人間が記載した心配点のうち、AIによって最大97%を抽出
- DRBFM生成の高速化: 人手で200時間を要する作業に対し、AIによる生成を約10分で実施
これらの結果についてEpicAIは、AIが単なる文書作成の効率化にとどまらず、人間のレビューを補完し、これまで見落とされていた不具合リスクの発見に貢献できる可能性を示しているとしています。
Mr.ガジェット200時間の作業を約10分に短縮した効率化だけでなく、人手で見落としていたリスクを1仕様書あたり10件以上拾ったという発見精度が提示されています。
Ms.ガジェット時間短縮はもちろんですが、人間が記載した心配点を最大97%抽出できたという網羅性の高さも導入判断で注目されそうです。
製造業における開発スピードと品質保証の課題背景
自動車、半導体、電子機器などの製造業では、製品の高機能化や構造の複雑化に伴い、設計段階で考慮すべき不具合リスクが増大しています。一方、品質保証の現場では、膨大な仕様書や過去の不具合情報を参照しながら熟練技術者がDRBFM、FMEA、FTAなどを作成・レビューする業務が大きな負担となっています。
特に設計変更による影響の洗い出しや複数部品にまたがる故障リスクの検討には高度な専門知識が求められ、レビュー品質が担当者の経験に依存しやすい課題が存在します。また、品質レビューの長期化が開発スケジュールを圧迫する一方、検討不足は後工程での手戻りや市場不具合につながるリスクがあります。EpicAIは、個人の経験や知識に依存してきた設計品質を組織全体で高める仕組みへと進化させ、品質保証を制約ではなく競争力を高める仕組みへ変革することを目指しています。
Ms.ガジェット熟練者の属人化とレビュー長期化による開発サイクルの停滞は、製造業の上流工程で共通して直面しやすい悩みだと感じます。
株式会社EpicAIについて
株式会社EpicAIは、東京大学松尾研究室発のAIスタートアップです。製造業、自動車、重工業、半導体、機械系の産業領域において、生成AIおよびAI Agentの研究開発と社会実装を進めています。製造業の設計・品質保証領域では、DR Agentをはじめ、図面・CAD Agentや設計・品質・工程構築業務の高度化に取り組み、企業固有の専門知識を活用したAIソリューションを提供しています。
Ms.ガジェット大学研究室発のスタートアップとして、重工業や半導体といった専門領域に特化してエージェント開発を進めている点が興味深いです。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

20社超でのPoCに加えて、現場担当者から500時間以上の判断基準を集めているという開発体制が目を引きます。