株式会社イオレ(本社:東京都港区)と、同社が2026年11月末に完全子会社化を予定しているWOODMAN株式会社(本社:東京都品川区)は、外部ネットワークとの接続を制限した「閉域エッジ基盤」の概念実証(PoC)を実施すると発表しました。同時に、PoCへ参加する事業者およびセキュリティパートナーの募集を開始しています。

PoCの概要と背景
今回のPoCは、外部との接続を限定した閉域網の中で、重要な業務処理とデータを現場の近くで運用する計算基盤を検証する取り組みです。病院、製造、物流など、業務停止が社会や事業に大きな影響を及ぼす領域を対象としています。役割分担として、イオレが企画運営を担当し、WOODMANが液浸冷却ソリューション「IMMERSIA EDGE」およびGPUサーバーを提供します。
背景として、生成AIの普及に伴いAIを活用したサイバー攻撃の高度化・自動化への懸念が高まり、侵入口を完全に防ぐことが困難になっている状況があります。侵入を防ぐ基本対策に加え、侵入されても被害を広げず重要業務を継続し迅速に復旧する備えが求められています。外部接続機器の脆弱性や委託先保守接続からの侵入リスクに対し、接続経路を限定した閉域構成を採用することで、侵入経路を削減し通信・権限の境界によって単一侵害の影響を局所化します。また、外部サービスや中核システムが停止した場合でも、現場で必要な処理とデータを継続して動かす環境を目指します。
イオレはAI推論向けGPUサーバーの販売やAIデータセンター開発などを手がける「AIインフラストラクチャー事業」において、全国分散型AIデータセンターネットワークの構築を進めています。この取り組みを災害対策からセキュリティ対策へ拡張し、機密情報や個人情報を外部へ送らずにAIを活用したい自社専用GPU環境の需要に対応します。
Mr.ガジェット外部との通信を物理的・論理的に絞る閉域網と、処理を現場近くで行うエッジ環境を組み合わせることで、外部ネットワーク障害や攻撃時の業務停止を防ぐ設計です。
Ms.ガジェット病院や工場のように、回線が切れても止まっては困る現場にとっては直接関係する重要な検証ですね。
検証内容と評価項目
PoCでは、参加事業者ごとに既存システムと業務のつながりを確認し、現場で継続すべき処理とデータを明確にしたうえで、主に4つの観点から検証を進めます。
- 業務の遂行:閉域環境で完結できる業務とデータの範囲を検証
- 業務継続と復旧:外部接続や中核システムの停止を想定した、業務継続・復旧の手順と所要時間の確認
- 被害・障害の拡大防止:接続経路・認証・権限の設計による侵入経路削減と、不正アクセス発生時の影響範囲の限定
- 現場への設置・運用条件:液浸冷却ソリューションを用いた設置環境、保守、運用コスト、AI処理に必要な処理能力の評価
Mr.ガジェットPoCでは単に動くかだけでなく、万が一の不正アクセス時の影響範囲の限定や、復旧にかかる具体的な所要時間まで実測・整理されます。
Ms.ガジェット現場で動かすとなると、業務が継続できる範囲や復旧手順があらかじめ数字として見えてくるのは導入判断に役立ちそうです。
液浸冷却ソリューション「IMMERSIA EDGE」の特徴
閉域での計算基盤運用において、発熱量が大きいGPUサーバーは空調や設置スペースの確保が必要となり、大規模データセンター以外への設置が難しいという課題がありました。本検証では、設置場所の制約を低減する手段としてWOODMANの「IMMERSIA EDGE」を活用します。

「IMMERSIA」は、年間1,000台以上のGPUサーバーを取り扱う実績を持つWOODMANが展開する液浸冷却ブランドです。サーバーを電気を通さない絶縁性液体に浸して冷却する液浸方式を採用しており、空調による空冷方式に比べ高い冷却効率を実現します。ラインナップには研究室・工場・病院などの省スペース設置に対応するオールインワン筐体「IMMERSIA EDGE(4Uタイプ)」と、大規模データセンター向けの「IMMERSIA DC」が存在します。
IMMERSIA EDGEは冷凍機(チラー)が不要で、静音設計や省エネ性能を備えています。GPU動作保証、最大10年の保守体制、パートナー企業とのオイル供給連携による運用環境が提供されます。
Mr.ガジェットGPUの発熱対策として絶縁性液体にサーバーを浸す液浸冷却を採用し、チラー不要で省スペースな4U筐体に収めることで専用サーバルーム以外の現場設置を可能にしています。
Ms.ガジェットチラー不要で静音性も配慮されているなら、機械室や大規模データセンターがない施設でも設置のハードルが下がりそうですね。
参加事業者・セキュリティパートナーの募集条件
イオレはPoCに参加する事業者と、技術協業を行うセキュリティパートナーの2枠で募集を行っています。申し込みはいずれも所定の問い合わせフォーム(https://ai-infra.eole.co.jp/#contact)から受け付け、対象業務や環境、期間は個別協議のうえ決定されます。
| 募集区分 | 対象 | 内容 | 実施時期 |
|---|---|---|---|
| 参加事業者 | 病院、製造、物流など、業務停止が社会や事業に大きな影響を及ぼす領域の事業者 | 対象業務の選定、「閉域エッジ基盤」の構成設計、検証環境での運用・評価に関するソリューションの共同開発・提供 | 準備が整った事業者から順次実施 |
| セキュリティパートナー | セキュリティ診断、脆弱性管理、認証・権限設計、監視・インシデント対応、バックアップ・復旧などに専門性を持つ企業 | セキュリティ診断、脆弱性管理、認証・権限設計、監視・インシデント対応、バックアップ・復旧業務、AIを活用した異常検知や脆弱性情報の分析 | 個別協議 |
今後の展開
イオレは本PoCで得られた知見を基に、業種や利用環境に応じた「閉域エッジ基盤」の導入・運用モデルの確立を進めます。実際の導入に必要な構成、運用体制、コスト、導入期間を整理し、認証・権限管理、脆弱性管理、監視、バックアップ・復旧を組み合わせた多層的ソリューションの標準モデル化を図る計画です。検証結果については、参加事業者の同意を得た範囲で公表する予定としています。
Ms.ガジェット同意を得た範囲で検証結果が公表される予定とのことなので、どのような運用モデルが示されるか注目したいです。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

ユーザー事業者だけでなく、多層防御を固めるためのセキュリティ専門パートナーも同時に募っている点に実用化への本気度を感じます。