弁護士ドットコム株式会社は、企業や社会の変革を担う弁護士を表彰する「BUSINESS LAWYERS AWARD 2026」のグランプリおよび各部門の最優秀賞受賞者を発表しました。審査の結果、グランプリには先端技術部門から株式会社ABEJAの古川直裕弁護士が選出されたほか、ガバナンス改革、ビジネスと人権、プロボノ・社会貢献、公共政策、先端技術の5部門で最優秀賞が決定しました。

アワードの趣旨とグランプリ選出の背景
「BUSINESS LAWYERS AWARD」は、企業活動の多様化や複雑化に伴い、ガバナンスや人権、サステナビリティへの対応が求められるなかで、紛争解決や契約業務にとどまらず企業・社会変革を支える弁護士の活動に光を当て、その功績を表彰するアワードです。企業法務に携わる弁護士の努力と貢献に敬意を表し、その姿を広く発信することを目的としています。
審査委員会による審査の結果、グランプリには先端技術部門の古川直裕弁護士(株式会社ABEJA)が選出されました。審査委員会は、古川弁護士がAIの研究開発に自ら携わった経験を法務に持ち込み、立場の異なる専門家が知見を持ち寄る場を育てながら、AIガバナンスの議論と実務を牽引してきた点を評価理由に挙げています。
Mr.ガジェット紛争対応や契約にとどまらず、ガバナンスや先端技術といった社会課題の領域で変革を担う弁護士を評価するアワード設計が特徴的です。
Ms.ガジェットAI開発を自ら行っていた弁護士がグランプリに選ばれている点に、実務と技術の関わりの深さを感じます。
グランプリおよび先端技術部門 最優秀賞:古川直裕弁護士
グランプリおよび先端技術部門最優秀賞を受賞した古川直裕弁護士(株式会社ABEJA / AI法研究会)について、審査委員会は「技術を外から評価するのではなく、自ら開発した経験に立ってAIガバナンスを設計する」姿勢を評価しました。開発チームのリーダーとして画像解析AIを中心に自らプログラムを書き、その知見を法務へ持ち込んだ実績や、設立したAI法研究会において弁護士、企業内法務、研究者が技術者と意見を交わす場をつくったことが挙げられています。また、内閣府のAI制度研究会では有識者として、リスクはユースケースから切り離せないとして個別分野の規制とソフトローの併用を説くなど、技術と規範の間に橋を架けてきた功績が礎と評されました。

古川弁護士は受賞コメントにおいて、AIという多くの企業が経営戦略に置く分野に身を置くことで見えてきた組織内法務や法務機能の問題意識として「自社サービス自体の価値向上への法務の関与」「事業部による法務飛ばし、コンサル等による利用規約等の作成の問題」「会社の経営戦略上の重要事項への法務のリソースを配分できていない戦略への追従性の問題(戦略法務の欠如)」の3点を提示し、弁護士業界に影響力を持つ関係者と議論を深めたい旨を述べています。
Mr.ガジェット開発リーダーとして自らコードを書いてきた経験を法務に還元し、個別規制とソフトローの併用を説いた点が評価されています。
Ms.ガジェットコメントで指摘されている「戦略法務の欠如」や「法務飛ばし」といった現場の課題意識にも注目したいです。
各部門の最優秀賞受賞者と活動概要
各部門における最優秀賞受賞者の所属および審査委員会による受賞理由は次の通りです。
ガバナンス改革部門:倉橋雄作弁護士
ガバナンス改革部門の最優秀賞には、倉橋雄作弁護士(倉橋法律事務所)が選出されました。コーポレートガバナンス・コード導入直後に『取締役会実効性評価の実務』を著して各社の運用の基礎を築いた点や、2018年より取締役会事務局への調査を継続して実務の実態を定量的に論じてきた点が評価されています。実務書の執筆、社外役員としての実践、法学博士としての研究を同時に担い、コードが求める「形式から実質へ」の転換を実務の側から支えてきたとされています。
倉橋弁護士はコメントで「コーポレートガバナンスは突き詰めれば、対話を通じた『よき意思決定』に行き着くと思っております。これが実現すると、組織にかかわる多くの人の幸せにもつながると思います」と述べています。
Ms.ガジェットコードの導入直後から実効性評価の実務を支え、事務局への調査を定量的に続けてきた蓄積の大きさに驚かされます。
ビジネスと人権部門:高橋大祐弁護士
ビジネスと人権部門の最優秀賞を受賞した高橋大祐弁護士(真和総合法律事務所)は、国際法曹協会のビジネスと人権委員会で副議長・共同議長を歴任し、2024年からは国連ビジネスと人権政府間作業部会の代理リーガルエキスパートを務めています。政府の行動計画策定や日弁連各種ガイダンスの策定に関与したほか、2022年設立のビジネスと人権対話救済機構で共同代表理事として企業と被害者の対話推進を担うなど、グローバル基準の形成と国内実務への浸透を架橋する存在として評価されました。

高橋弁護士はコメントにおいて、多様なセクターとの出会いや対話、協働の機会に感謝を示し、企業と社会の双方のレジリエンス(強靭性)とインテグリティ(健全性)を高める貢献に向けて取組を積み重ねたいとしています。
Ms.ガジェット国連の作業部会や救済機構の共同代表理事など、国際的な基準形成と国内の対話推進の両方に関わっている点が印象的です。
プロボノ・社会貢献部門:牛見和博弁護士
プロボノ・社会貢献部門の最優秀賞を受賞した牛見和博弁護士(弁護士法人牛見総合法律事務所)は、一般社団法人弁護士EAP協会の設立および代表理事としての活動が評価されました。同協会は2026年7月時点で40都道府県・230名超の弁護士が参画する仕組みへ成長しています。企業の福利厚生に弁護士相談を組み込むことで持続的に司法アクセスを広げ、医師やカウンセラーなど他士業との連携も進めるなど、山口県を拠点に継続的な社会貢献モデルを構築した点が評価理由です。

牛見弁護士はコメントで「EAPは働く人と企業の双方を守る仕組みであるとともに、『大人に対する法教育』を可能とするものであり、基本的人権の擁護と社会正義の実現に資するもの」と述べ、司法アクセスの拡充への意欲を示しました。
Ms.ガジェット個人の献身だけに頼らず、企業の福利厚生に組み込む仕組みとして全国へ広げているアプローチに関心を持ちました。
公共政策部門:工藤美香弁護士
公共政策部門の最優秀賞を受賞した工藤美香弁護士(公益財団法人 自然エネルギー財団)は、公益財団法人の主席研究員として電力システム改革を担当し、風力発電の環境アセスメントや蓄電池普及に向けた制度見直し提言を継続してきた実績が評価されました。日弁連の司法改革調査室などで約10年にわたり司法制度改革に携わって調査・提言手法を培い、気候変動シンクタンクから政策形成に関与して法律家の職域を広げたキャリアが注目されています。

工藤弁護士はコメントで、気候変動の人権課題に取り組む弁護士の活動や組織内での活動へのエールと受け止めているとし、資源・エネルギー分野での転換期において引き続き力を尽くす考えを示しました。
Ms.ガジェット法律事務所や企業だけでなく、気候変動シンクタンクから政策形成に関与するというキャリアの広がりが興味深いです。
各部門最優秀賞受賞者一覧
| 部門 | 受賞 | 氏名 | 所属 |
|---|---|---|---|
| 先端技術部門 | グランプリ / 最優秀賞 | 古川 直裕 弁護士 | 株式会社ABEJA / AI法研究会 |
| ガバナンス改革部門 | 最優秀賞 | 倉橋 雄作 弁護士 | 倉橋法律事務所 |
| ビジネスと人権部門 | 最優秀賞 | 高橋 大祐 弁護士 | 真和総合法律事務所 |
| プロボノ・社会貢献部門 | 最優秀賞 | 牛見 和博 弁護士 | 弁護士法人牛見総合法律事務所 |
| 公共政策部門 | 最優秀賞 | 工藤 美香 弁護士 | 公益財団法人 自然エネルギー財団 |
Ms.ガジェット表で一覧にすると、各部門の最優秀賞受賞者がどの組織に所属し活動しているのかが整理されて分かりやすいです。
優秀賞および審査委員会特別賞の受賞者一覧
あわせて発表された各部門の優秀賞および審査委員会特別賞の受賞者は以下の通りです(五十音順・敬称略)。
Ms.ガジェット各部門の優秀賞にも多くの法律事務所や企業内弁護士の名前が並んでおり、多様な領域で取り組みが進んでいることが伝わります。
ガバナンス改革部門 優秀賞
- 倉橋 雄作 弁護士(倉橋法律事務所)
- 柴山 吉報 弁護士(阿部・井窪・片山法律事務所)
- 三浦 悠佑 弁護士(渥美坂井法律事務所・外国法共同事業)
- 森 進吾 弁護士(明倫国際法律事務所)
- 吉田 郁子 弁護士(エクスリンク法律事務所)
Ms.ガジェットガバナンス改革の分野で企業統治の実質化に向けて取り組む弁護士の方々が揃っています。
ビジネスと人権部門 優秀賞
- 梅津 英明 弁護士(森・濱田松本法律事務所外国法共同事業)
- 高橋 大祐 弁護士(真和総合法律事務所)
- 塚田 智宏 弁護士(森・濱田松本法律事務所外国法共同事業)
- 福原 あゆみ 弁護士(長島・大野・常松法律事務所)
- 細谷 夏生 弁護士(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業)
Ms.ガジェットビジネスと人権のテーマにおいて、実務対応や国際基準への対応をリードする顔ぶれが並んでいます。
プロボノ・社会貢献部門 優秀賞
- 牛見 和博 弁護士(弁護士法人牛見総合法律事務所)
- 玄 唯真 弁護士(株式会社ヘラルボニー)
- 中村 優紀 弁護士(中村法律事務所)
- 野田 隼人 弁護士(弁護士法人アライズ高島法律事務所)
- 米田 龍玄 弁護士(岡村綜合法律事務所)
Ms.ガジェット企業内法務や地域拠点の事務所など、多様な立場から社会貢献に挑む取り組みが評価されています。
公共政策部門 優秀賞
- 川端 健太 弁護士(森・濱田松本法律事務所外国法共同事業)
- 工藤 美香 弁護士(公益財団法人 自然エネルギー財団)
- 國峯 孝祐 弁護士(國峯法律事務所)
- 鮫島 正洋 弁護士(弁護士法人内田・鮫島法律事務所)
- 渡部 友一郎 弁護士(Airbnb Japan株式会社)
Ms.ガジェット財団や事業会社、法律事務所など所属の幅が広く、公共政策への関わり方の多様性を感じます。
先端技術部門 優秀賞
- 内田 誠 弁護士(iCraft法律事務所)
- 清水 亘 弁護士(弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所名古屋オフィス)
- 田邉 幸太郎 弁護士(三村小松法律事務所)
- 古川 直裕 弁護士(株式会社ABEJA)
- 山岡 裕明 弁護士(八雲法律事務所)
Ms.ガジェット先端技術部門では、AIや先進領域のルールメイキングに取り組む実務家が集まっています。
審査委員会特別賞
- 鴨志田 祐美 弁護士(Kollect京都法律事務所)
Ms.ガジェット審査委員会特別賞として単独で表彰されている点に、独自の活動に対する注目の高さがうかがえます。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

ガバナンスや人権、社会貢献、政策など、各分野の実務を長年支えてきた方々が選ばれていて活動の幅広さが分かります。