アスメック株式会社は10月30日、台湾・新竹に本社を置くoToBrite社製のカメラ延長用リピーター『GMSL2™ Repeater』の取り扱いを開始したと発表しました。中継器を挟むことでGMSL2信号を再生成し、追加遅延を1マイクロ秒未満に抑えながら伝送距離を2倍の最大30mまで延長できます。
「GMSL2 Repeater」の概要と開発背景
無人搬送車(AMR)、建設機械、農業機械、長距離トラックなどの大型機械では、カメラの設置場所と映像処理を行うコンピュートユニットが物理的に離れるケースが頻発します。トレーラーの後部や建機のブームアーム、農機の収穫ヘッドなどに配置されるカメラは、標準的なGMSL2リンクの安定伝送距離を超過しやすい環境にあります。従来はコンピュートユニットそのものを移設するか、配線設計を根本からやり直す必要があり、開発期間や費用の面で大きな負担となっていました。

『GMSL2™ Repeater』は、カメラとホストの間に挿入して使用する中継ユニットです。伝送経路の中間に1台設置するだけで、カメラの構成やコンピュートユニットの配置を変更することなく伝送距離を2倍に延長できます。本製品はアナログ方式で信号を増幅するのではなく、受信したGMSL2信号を取り込んで整形し、新たな信号として再送信する「再生成方式」を採用しています。これにより追加される遅延時間は1マイクロ秒未満に抑えられており、リアルタイムな映像処理が求められる自律走行やロボティクス分野でも映像遅延の影響を抑制して機器配置の見直しが可能です。
Mr.ガジェット信号を単に増幅するのではなく再生成する方式のため、追加遅延を1マイクロ秒未満に抑えつつ配線距離を延ばせる点が技術的なポイントです。
Ms.ガジェット遅延がほとんど増えない設計なら、リアルタイムな映像認識が必要な大型建機や自律走行車でも導入しやすそうですね。
「GMSL2 Repeater」の主要スペックと設計仕様
本製品は過酷な屋外や車載環境での常設を想定した仕様を備えています。リピーター1台の導入で30mの伝送を実現し、24時間の検証試験においてフレーム欠落ゼロを確認していると発表されています。同等規格のケーブルコネクタと接続した状態ではIP69Kの防水・防塵規格を満たし、高圧洗浄にも耐えうる設計です。

給電面では外部電源を個別に用意する必要がなく、配線の簡素化に寄与します。動作温度範囲は−40℃から85℃に対応し、消費電力は接続先カメラへの給電を除いて最大1.3Wとなっています。インターフェースにはGMSL2の入出力を各1系統備え、端子にはFAKRA Type Zコネクタを採用、データ伝送速度は6Gbpsに対応します。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 最大伝送距離 | 30m(24時間検証でフレーム欠落ゼロ) |
| 遅延時間 | 1マイクロ秒未満(信号再生成方式) |
| データ伝送速度 | 6Gbps |
| 入出力コネクタ | GMSL2 入力×1、出力×1(FAKRA Type Z) |
| 外形寸法 | 34.6 × 36 × 19 mm |
| 保護等級 | IP69K(同等規格コネクタ接続時) |
| 動作温度範囲 | −40℃ 〜 85℃ |
| 消費電力 | 最大1.3W(カメラへの給電を除く) |
| 電源供給 | 外部電源不要 |
Mr.ガジェットIP69K対応と外部電源不要の仕様により、屋外での高圧洗浄や配線スペースが限られる重機への常設に適した設計となっています。
Ms.ガジェット34.6×36×19mmというコンパクトなサイズ感で、別電源も引かずに済むのは現場の組み込みで扱いやすそうです。
想定される利用用途と活用シーン
本製品は、長距離トラックや屋外自律走行ロボット(AMR)、無人地上車両(UGV)、オフハイウェイ車両などの各種大型移動体での活用が想定されています。具体的な利用場面として以下の事例が挙げられています。
- トレーラー後部や車体側面のカメラを既存配線に追加し、後方や周囲の監視を行う用途
- 建設機械のブームアームや農業機械の収穫ヘッドに設置したカメラから、本体側のコンピュートユニットへ映像信号を接続する用途
- 定期的に高圧洗浄を実施する屋外稼働機械において、防水性を備えた中継点を確保する用途
GMSL2カメラおよびJetson向けキットとの連携
製造元のoToBrite社は、100万画素から800万画素までの解像度を持つGMSL2カメラに加え、NVIDIA® Jetsonプラットフォームと接続するためのアダプターキットを展開しています。これらのカメラは、NVIDIA® Jetson Nano、AGX Orin、Thor™向けのソフトウェア環境であるJetPack 7.2にも対応しています。
『GMSL2™ Repeater』をこれらと組み合わせることで、車載カメラから中継接続、長距離伝送に至るシステム構成を、車載グレードに対応した同一サプライヤーの製品群で一元的に揃えやすくなります。なお、oToBrite社は台湾・新竹に本社を置き、車載や自律走行分野で10年以上の実績を持つVision AI企業です。
Mr.ガジェットカメラ本体からJetson用アダプター、そして中継器まで同一メーカーの車載グレード品で統一できる構成になっています。
Ms.ガジェットJetPack 7.2対応やNVIDIA Jetson環境との組み合わせが最初から想定されているのは、エッジAIの開発で心強い選択肢になりそうです。
問い合わせおよび取り扱いについて
アスメック株式会社では、『GMSL2™ Repeater』の価格や取り扱い詳細について個別の問い合わせ窓口で受け付けています。導入に向けた相談やデモ機の貸出相談にも対応しており、製品選定から導入後の技術サポートまで一貫した体制で対応するとしています。
Ms.ガジェット価格は個別見積もりのようですが、デモ機の相談にも対応しているとのことなので実機検証を進めやすそうですね。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

大型トラックの車体後方やブームアームの先など、これまで配線が届きにくかった場所へのカメラ配置が現実的になりますね。