アスメック株式会社は、台湾のJosefina Pan Pacific社(JPP)が展開するドローン向けブランド「AEROVIX」のEO/IR(可視光+赤外)カメラ「AX-TFPTHE01」の取り扱いを11月4日より開始しました。20MPの可視光カメラと640×512解像度の長波赤外サーマルカメラを1つのモジュールに統合し、昼夜を問わない状況把握を支援します。
「AX-TFPTHE01」の概要と製造サプライチェーン
ドローン(UAV)は点検、測量、防災、警備、物流、安全保障などの分野で用途が拡大しています。一方で、米中対立を背景に機体や搭載部品の出自を厳格に確認する動きが強まっています。米国では中国製ドローンへの規制が段階的に進み、2025年12月には米連邦通信委員会(FCC)が外国製ドローンと重要部品を新たな機器認可の対象外とする措置を発表しました。こうした背景から、カメラ、通信、制御などの部品において、設計地や製造地を明確に説明できるサプライチェーンが求められています。

台湾・高雄市に本社を置くJPP社のブランド「AEROVIX」は、完成機ではなくUAV向けのビジョン・センシングのサブシステムを供給しています。主要モジュールは台湾で設計・製造されており、非中国サプライチェーンとNDAA(米国国防授権法)に整合する構成を志向しています。あわせてGreen UAS対応のサブシステム技術にも注力しています。
今回取り扱いが開始されたEO/IRカメラ「AX-TFPTHE01」の主要部品構成は次の通りです。
- イメージセンサー:米国製
- ISP、基板実装(PCBA)、組立・試験:台湾
Mr.ガジェット米国製センサーを採用しつつ、台湾で基板実装から検査まで行う構成は、NDAA対応を重視する開発元にとって調達の判断基準になりそうです。
Ms.ガジェット部品ごとの製造国が明記されていると、出自のトレーサビリティを求められる現場で選定しやすそうですね。
「AX-TFPTHE01」の詳細仕様とセンサー性能
「AX-TFPTHE01」は、高解像度の可視光撮影と熱赤外線撮影を単一の小型軽量ユニットで実現するドローン向けセンサーモジュールです。可視光部には20MP(5120×3840)センサーを採用し、レンズはワイド5mm(水平画角80°±5°)とテレ25mm(水平画角16°±1°)を備えています。赤外センサー部にはLWIR(VOx)を採用し、解像度は640×512、画素ピッチ12μm、対応波長8〜14μm、NETD ≤40mK(F/1.0、300K)の検出感度を有します。
機体への組み込みを想定し、IP67の防塵防水性能と−20〜70℃の動作温度範囲に対応しています。さらにLSM6DSOおよびLIS2MDLで構成されるIMUを搭載しています。主なスペック一覧は以下の通りです。
| 項目 | 仕様内容 |
|---|---|
| 可視光センサー | 20MP(5120×3840) |
| 可視光レンズ | ワイド5mm(水平画角80°±5°)/テレ25mm(水平画角16°±1°) |
| 赤外センサー | LWIR(VOx)、640×512、12μm、8〜14μm、NETD ≤40mK(F/1.0、300K) |
| 赤外フレームレート | 標準30Hz |
| 赤外レンズ・出力 | 標準レンズ9mm(画角48.8°×38.8°)、USB 2.0出力 |
| インターフェース | HD出力/USB、制御: UART |
| 内蔵IMU | LSM6DSO、LIS2MDL |
| 防水性能 | IP67 |
| 動作温度範囲 | −20〜70℃ |
| 消費電力 | 可視光部1.6W、赤外部0.7W |
Mr.ガジェット可視光で20MPの高画素を持ちつつ、赤外線側も640×512でNETD 40mK以下に抑えられており、消費電力も両方合わせて約2.3Wと省電力にまとまっています。
Ms.ガジェットIP67防水でマイナス20度から70度まで動くタフさもあり、屋外での点検や警備用途で頼もしい仕様だと感じます。
JPP社およびAEROVIXブランドの事業概要
Josefina Pan Pacific Ltd.(JPP)は、1997年に台湾・高雄市で創業した車載向け電子安全システムのメーカーです。車載カメラやモニター、アラウンドビュー、レーダーなどを世界各国へOEM/ODM供給しており、培われた車載映像・センシング技術をドローン分野へと拡張しています。
AEROVIXはJPP社のドローン向け専門ブランドとして展開されています。FPVカメラ(アナログ/RTSP/MIPI)、デジタル映像伝送、フライトコントローラー、ESC、ELRS RFシステム、熱赤外カメラ、EO/IRセンサー、AIビジョンモジュールなどを台湾で設計・製造しています。完成機そのものは製造せず、提携パートナーが任務に応じたドローンを開発するためのサブシステム部品の提供に特化しています。
「AX-TFPTHE01」の販売窓口と問い合わせ先
輸入販売およびサポートを担当するアスメック株式会社では、「AX-TFPTHE01」の価格や取り扱い詳細について個別の問い合わせを受け付けています。製品の選定から導入後の技術サポートまで一貫して対応し、デモ機の貸出や導入に関する相談にも応じています。
Ms.ガジェット価格は公開されておらず個別相談形式ですが、デモ機の相談も可能とのことで実機検証を検討する企業には助かりますね。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

完成機ではなく、車載システムで実績のあるメーカーがセンサーや伝送系などのサブシステムに絞って供給している点が興味深いです。