株式会社ミラセンシズは2026年11月9日、自動文章校正・校閲ソリューション『AI editor』を複数の専門AIエージェントが連携する校正チーム構成へリニューアルし、同日より提供を開始しました。専門チェッカーが並列で確認を行い、統括役のAIが集約して結果を出力します。指摘は信頼度に応じて3段階に色分けされ、利用者が判断すべき箇所から優先して確認できる設計です。最終的な承認および却下の判断は人が行います。
リニューアルの背景と課題
企業が発信する文書は、Webサイトや広告、製品説明書、プレスリリース、社内文書など多岐にわたります。こうした文書の校正・校閲業務では、確認完了までの待ち時間や作成者による表記のばらつき、確認にかかる作業時間などが課題として挙げられていました。また、明確な規定が定まっていないことによる属人化や文書ごとのルール見落とし、担当者育成の時間とコスト、確認漏れに伴う発行後の回収・訂正リスクも存在していました。
『AI editor』はこれまでも企業ごとのオリジナルルールによるチェックや、生成AIを活用した文章比較などの機能を提供してきました。今回のリニューアルでは、校正・校閲の仕組み自体を再構築し、それぞれ専門的な役割を持つAIエージェントがひとつの校正チームとして機能するアーキテクチャへと改められています。
Mr.ガジェット文書確認はルール見落としや属人化が起こりやすいため、システム側でベースラインを揃えるアプローチが注目されます。
Ms.ガジェット確認待ちの時間や書き手のばらつきは実務でよく直面するので、一次チェックの自動化は気になるところです。
複数エージェントが連携する「AI校正チーム」の仕組み
リニューアル後の『AI editor』では、ひとつの万能なAIにすべての工程を任せるのではなく、役割を分担した専門AIエージェントが校正マルチエージェントとして連携します。誤字脱字、ルール、ルール類似、表記揺れなどを担当する専門チェッカーが、それぞれの観点から並列で文書を確認します。

各チェッカーが検出した指摘は、統括役となる「チーフエディター」が集約・正規化し、重複を除いて出力します。複数の専門チェッカーが同じ箇所を指摘した場合でも、利用者側には1件の指摘としてまとめて提示されます。たとえば誤字脱字チェッカーは文脈を踏まえ、「意外」と「以外」の取り違えなどパターン認識だけでは検出が難しい同音異義語や慣用句の誤りを検出します。また、ルール類似チェッカーは登録済みルールと意味が近い表現を検出し、新たなルール候補として提案します。指摘に対する承認や却下の最終判断は人が担います。
Mr.ガジェット単一のAIに任せるのではなく、役割を分けたチェッカーの指摘をチーフエディターが1件に集約する構造を採用しています。
Ms.ガジェット同じ場所に対して複数のAIからバラバラに指摘が届くと混乱しそうですが、まとめて提示される仕組みなら見通しが良さそうです。
信頼度による3段階の色分け表示
文書内の誤字脱字や表記揺れなどの指摘は、信頼度に応じて「赤」「黄」「グレー」の3段階に色分けされて表示されます。画面上に表示される「95%」といった数値はAIが指摘内容を判断した確信度を表しており、検出精度や正解率を示すものではありません。

表示色は確認作業を行う際の優先順位の目安として機能します。どの色の指摘についても、承認するか却下するかの判断は利用者が行います。一次確認と整理をAIが担い、人は判断が必要な指摘に集中することで、作業効率と品質担保の両立を目指す設計です。
ルール登録とフィードバックによる学習機能
『AI editor』では、使用禁止ワードや統一表記、ひらがな指定などを企業ごとのオリジナルルールとして登録可能です。組み合わせが決まった単語や、連続しない複数の語によるNGルール設定にも対応しています。企業単位でアカウントを発行するため、担当者が交代した場合でも同じ基準で校正・校閲を実施できます。
フィードバック機能も備えています。利用者が誤字脱字の指摘を誤りとして却下した場合はそのパターンが例として登録され、以後の誤検出を抑制します。見逃された誤字を報告した場合は、次回以降の検出処理へ反映されます。これらは機械学習モデルの再学習を待つ形ではなく、プロンプト調整と大規模言語モデル(LLM)による意味的な判断を通じて改善されるため、運用を重ねることで各社の文書傾向に合わせたチェックが可能になります。
Mr.ガジェット却下や見逃し報告の蓄積をモデル再学習ではなくプロンプトや意味判断で反映させるため、運用の即時性があります。
Ms.ガジェットモデルの再学習を待たずに自社特有の言い回しへ調整されていくなら、現場でのフィードバックも継続しやすそうです。
主な機能とプラン別の提供仕様
『AI editor』の提供形態はSaaSで、提供開始日は2026年11月9日です。プラン体系は「ベーシックプラン」と「アドバンスドプラン」の2種類が用意されており、利用価格については問い合わせ対応となっています。生成AIを活用する機能には利用量の上限が設定されており、各プランに一定の利用枠が含まれます。
| 項目 | ベーシックプラン | アドバンスドプラン |
|---|---|---|
| 校正チェック | 基本ルール(誤字脱字、表記揺れ、助詞・文末重複、日付と曜日、金額カンマ等)、オリジナルルール、曖昧検索 | 基本ルール、オリジナルルール、曖昧検索に加え、登録画像の色・縦横比・編集有無を確認する画像チェックに対応 |
| 生成AI機能 | 生成AIルール自動作成、生成AI文章比較(PDF・JPEG・PNG)、生成AI文章作成、校正データベース(RAG)※一定枠あり | 生成AIルール自動作成、生成AI文章比較(PDF・JPEG・PNG)、生成AI文章作成、校正データベース(RAG)※一定枠あり |
| 導入環境 | ブラウザ | ブラウザ、API連携、Chrome拡張機能、Office Add-in(Excel・Word・PowerPoint) |
| セキュリティ体制 | AWS日本リージョン利用(ファイアウォール、ウイルスチェック、IDS)、ISMS(ISO/IEC 27001)認証に基づく管理 | AWS日本リージョン利用(ファイアウォール、ウイルスチェック、IDS)、ISMS(ISO/IEC 27001)認証に基づく管理 |
想定される利用業種として、出版、印刷、製薬、製造、システム開発、Web制作、コンテンツ制作、金融、コンサルティングなどが挙げられています。広告・販促物におけるリスク文言や誇大表現の一次確認、印刷物・説明書制作時の表記揺れや日付と曜日の整合性チェック、Webサイトや社内ドキュメントの基準統一、金融商品名や企業名のスペル確認などの用途が想定されています。
Ms.ガジェットOffice Add-inやChrome拡張機能はアドバンスドプラン専用なので、普段の執筆ワークフローに合わせて検討が必要になりそうです。
今後の開発ロードマップ
ミラセンシズは今後、「AI校正チーム」の構成に各チェッカーの一次結果を文脈から二次判定する「レビュアー」を追加する予定です。さらに、リスク・コンプライアンス表現、個人情報の抽出、主語の一貫性、引用・根拠の確認を行う専門チェッカーについても、利用企業からのフィードバックをもとに追加を検討していく方針を示しています。
連携機能としては、MCP(Model Context Protocol)を通じて利用企業が契約しているLLMを経由した接続や、外部ドキュメントツールとの連携に向けた取り組みも進める予定としています。
Mr.ガジェット今後の予定として、文脈判定を行うレビュアーの導入やMCP経由での自社LLM連携が挙げられています。
Ms.ガジェットMCP経由で自社契約のLLMをつなげる構想があるのは、セキュリティや利用枠の観点でも今後の展開に注目したい点です。
- 本記事で使用している画像は、メディアユーザーとしてPR TIMESより提供されたプレスリリース素材を利用しています。

色分けだけでなくパーセンテージも表示されますが、精度ではなくAIの判断確信度という点は意識して使い分けたい基準です。