オートデスクは、2026年9月15日から17日(日本時間9月16日から18日)まで米国ラスベガスで開催した、デザインと創造のカンファレンス「Autodesk University 2026」において、設計・建設・製造で生まれるデータと建物や設備などの実環境から得られる運用データをつなぐ新たな取り組みを発表しました。そこから得られた知見を具体的なアクションや次の設計に生かす方針を示しています。
TandemとFormaをAIで連携しデジタルツインを構築
オートデスクはデザインと創造のプラットフォームを運用領域へ拡張し、Autodesk Tandemを統合運用プラットフォームとして展開します。建築・エンジニアリング・建設の業界別クラウドであるAutodesk Formaと、Tandem、FlexSim、MaintainXとの新たな連携により、設計・建設・製造のデータと現場から得られるリアルタイムの運用データを結び付けます。これにより、実環境下での変更前にその影響を検証するとともに、予防保全を通じた資産の安定稼働を支援するとのことです。

Tandemは、空間、システム、資産、プロセス、運用データを集約し、実際の施設や設備などの物理環境をデジタルツイン上に再現する運用プラットフォームです。例えば、ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港では、エンジニアリング会社のWSPと連携し、Tandemを活用して建設・製造データや資産、モデル、運用データを集約しています。
AU 2026では、FormaとTandemをAIで連携する取り組みが紹介されました。Formaのモデル コーディネーションを活用することで、BIM(Building Information Modeling)データと製造データを同一プロジェクトに取り込み、運用に必要な情報を集約した包括的なデジタルツインを構築できます。さらにAutodesk Assistantが、センサーデータとTandem内の資産との関連付けを支援することで、デジタルツインの構築や維持にかかる作業負担を軽減するとしています。
FlexSim連携によるプロセスシミュレーションの導入
デジタルツインに集約した情報を活用し、現場で変更を行う前にその影響を検証できるよう、AU 2026ではTandemとFlexSimの新たな連携が発表されました。この連携により、プロセス シミュレーションをTandem上で直接行うことが可能になります。
空港の事例では、実際の運営データを用いて米国運輸保安局の保安検査場における人の流れをモデル化し、検査レーンの構成を変更した場合の影響や設備の利用状況を実際の変更前に比較・検証しています。これにより、実際の運用状況に基づいて複数の選択肢を比較し、ボトルネックの特定や処理能力の検証に役立てられるとのことです。また、設備やレイアウトの変更による効果を事前に見極めることで、より確かな投資判断や意思決定につなげます。
MaintainXによる迅速な保全対応と知見のフィードバック
オートデスクに加わったMaintainXは、モバイルとAIを活用し、現場での迅速な対応を可能にする仕組みを提供します。AU 2026では、Tandemが通常とは異なる稼働状態にある資産を検知し、故障が発生する前にMaintainXで保全ワークフローを開始する流れが紹介されました。
保全管理者はMaintainX上で作業の優先順位を設定して担当者に割り当て、現場の技術者は対象資産の稼働データや保守履歴、メーカーのドキュメントを参照しながら原因を診断して修理を行います。作業完了後の保全記録は資産の履歴として蓄積され、今後の運用に活用されます。
同社は、設計、建設・製造、運用を一つの情報の流れとしてつなぐことで、実際の施設や設備から得られたデータや知見を日々の保全業務だけでなく将来の設計やものづくりにも生かすことを目指しています。保全作業や設備の故障、修理、性能改善などから得られる知見を次のプロジェクトへ引き継ぐことで、資産の性能向上や将来の投資判断に役立てるとしています。
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