香港発のネットワーク機器メーカー「GL.iNet(ジーエル・アイネット)」が、2026年6月10日から12日まで幕張メッセで開催された日本最大級のインターネットテクノロジーイベント「Interop Tokyo 2026」に初出展しました。
今回は、現地のGL.iNetブースにお邪魔し、日本初公開となる製品を含む、リモートKVMソリューションやWi-Fi 7対応トラベルルーターなどの新製品を取材してきました。それぞれの特徴とスペックを、公式情報とあわせてご紹介します。
GL.iNetが「Interop Tokyo 2026」に初出展

GL.iNetは、香港に本社を置くネットワークソリューションのメーカーです。正式な会社名はGL Technologies (Hong Kong) Limited.、COOはAlfie Zhao(アルフィー・ジャオ)氏が務めています。OpenWrtをベースにしたトラベルルーターやセキュリティゲートウェイ、リモートKVMソリューションを開発し、すでに世界100以上の国と地域で製品を展開しています。
Ms.ガジェットGL.iNetって、海外ではかなり有名なメーカーなんですか?
Mr.ガジェットはい。「Secure Networking. Boundless Possibilities.」をブランドメッセージに掲げていて、Red Dot Design AwardやMUSE Design Awardといった国際的なデザイン賞も受賞している実力派ですね。
そのGL.iNetが、日本のイベントへ初めて出展したのが今回のInterop Tokyo 2026です。会社としては、この出展を日本市場への本格参入における重要な節目と位置づけています。
出展の背景には、ITインフラの変化があります。近年はデータセンターや遠隔拠点へとインフラが分散し、現地にモニターや担当者を置かない「ヘッドレス環境」での運用が広がってきました。一方で、従来のリモート管理ツールはOSやネットワークが正常に動いていることが前提のため、システムのフリーズや通信障害が起きると使えなくなり、現地への駆け付け対応が必要になることがあります。
Ms.ガジェット確かに、トラブルのときに限って遠隔から手が出せない、というのは困りますね。
Mr.ガジェットそこを解決するのが、今回展示されていたリモートKVMなんです。リモートワークの定着やVPN利用の広がりもあって、日本でも安全で柔軟なネットワークへの需要が高まっています。
ブースでは、リモートKVMソリューションとWi-Fi 7トラベルルーターを中心に、実機デモや技術相談が行われていました。
リモートKVM「Cometシリーズ」(B2B)— 障害時もBIOSレベルで遠隔管理
GL.iNetが日本市場で特に力を入れているのが、リモートKVMソリューションです。KVMはKeyboard・Video・Mouseの略で、離れた場所からサーバーやワークステーションを、まるで目の前にあるかのように操作できる装置を指します。
GL.iNetのCometシリーズは、次世代の帯域外管理(OOBM:Out-of-Band Management)に対応しているのが大きな特徴です。OSが立ち上がらないような障害時でも、BIOSレベルでのアクセスやOSの遠隔インストール、診断、電源制御までを可能にし、現地に駆け付ける必要性を減らします。
Ms.ガジェットOSが動かなくても操作できるって、普通のリモート操作とは違うんですね。
Mr.ガジェットそこが肝心な点ですね。一般的な遠隔ツールはOSの上で動くので、OSごと固まると無力です。CometシリーズはBIOSレベルから入れるので、いわば最後の砦になります。
ブースには、用途やコストに応じて選べる4つのモデルが並んでいました。
Comet Q(GL-RMQ1)— 手のひらサイズの新型KVM

私が今回のブースで一番興味を持ったのが、クラウドファンディングを実施中の新製品「Comet Q」です。重量わずか78.5gと手のひらに収まるサイズながら、Type-Cケーブル1本で対象機器に接続し、フルリモート操作を実現します。
Comet Qの大きな話題は、世界で初めてiPhoneの操作に対応したKVMである点です。USB Type-CのDisplayPort Alt Modeを使って映像を取り込み、対応するスマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどを遠隔から扱えます。本体には1.8インチのタッチスクリーンを備え、設定やステータス確認、操作を本体上で完結できます。
Ms.ガジェットスマホやタブレットまで遠隔操作できるKVMって、あまり聞いたことがないですね。
Mr.ガジェット個人や現場での用途にも使いやすいのが新しいところですね。消費電力も2.5W未満と省電力なので、置き場所を選びません。
Comet Q(GL-RMQ1)主要スペック
| プロセッサ | ARM Cortex プロセッサ |
| メモリー | LPDDR4 512MB / NAND 512MB |
| Wi-Fi | Wi-Fi 6(2.4GHz 286Mbps / 5GHz 286Mbps) |
| 映像入力 | DisplayPort Alt Mode over Type-C(2K QHD@60FPS) |
| 画面 | 1.8インチ タッチスクリーン |
| 電源 / 消費電力 | Type-C PD 5V/2A / 2.5W未満 |
| 寸法 / 重量 | 70×70×22mm / 78.5g |


Comet X(GL-RM4PE)— 4台をまとめて管理するB2B中核モデル

Comet Xは、4系統のHDMI入力を備え、最大4台のサーバーを1台で管理できるモデルです。ラックマウント環境を想定して設計されており、10インチ用と19インチ用のブラケットが同梱されています。
Ms.ガジェット1台で4台分を管理できると、機器の数を減らせそうですね。
Mr.ガジェットそうですね。PoEとType-Cの両方の電源に対応しているので、設置や配線もシンプルにまとめられます。
Comet X(GL-RM4PE)主要スペック
| プロセッサ | クアッドコア ARM Cortex |
| メモリー | DDR3L 1GB / 64GB eMMC |
| HDMI入力 | 4系統 |
| Ethernet | 1×RJ45(10/100/1000Mbps) |
| 画面 | 3.69インチ タッチスクリーン |
| 電源 / 消費電力 | 802.3af/at PoE / Type-C 5V/3A対応 / 8W未満 |
| 寸法 / 重量 | 170×90×40mm / 560g |
Comet Pro(GL-RM10)— Wi-Fi対応の単体KVM

Comet Proは、ヘッドレス環境のサーバーやワークステーションを、OS障害時にもブラウザから管理できる単体のリモートKVMです。2.4GHzと5GHzの両方のWi-Fiに対応し、有線・無線のフェイルオーバーにも対応します。
Ms.ガジェットブラウザだけで操作できると、専用ソフトを入れなくて済むのは楽ですね。
Mr.ガジェット4K@30FPSの映像パススルーや音声チャネルにも対応していて、単体KVMとしては機能が充実していますね。
Comet Pro(GL-RM10)主要スペック
| プロセッサ | クアッドコア ARM Cortex |
| メモリー | DDR3L 1GB / 32GB eMMC |
| Wi-Fi | Wi-Fi 6 デュアルバンド(2.4GHz 286Mbps / 5GHz 286Mbps) |
| HDMI入力 | 1系統 |
| 画面 | 2.22インチ タッチスクリーン |
| 電源 / 消費電力 | Type-C 5V/2A PD対応 / 5W未満 |
| 寸法 / 重量 | 93×84×47mm / 170g |




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Comet PoE(GL-RM1PE)— PoEで導入しやすいモデル

Comet PoEは、PoE(Power over Ethernet)給電に対応し、配線を簡潔にしながらBIOSレベルの遠隔管理を導入しやすくしたモデルです。1系統のHDMI入力で対象端末を遠隔管理します。
Ms.ガジェットLANケーブル1本で給電もできると、設置がすっきりしますね。
Mr.ガジェットPoE環境がすでにあるオフィスやデータセンターには導入しやすい一台ですね。
Comet PoE(GL-RM1PE)主要スペック
| プロセッサ | クアッドコア ARM Cortex |
| メモリー | DDR3L 1GB / 32GB eMMC |
| HDMI入力 | 1系統 |
| Ethernet | 1×RJ45(10/100/1000Mbps) |
| 電源 / 消費電力 | 802.3af/at PoE / Type-C 5V/2A対応 / 5W未満 |
| 寸法 / 重量 | 102×70×22mm / 140g |
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トラベルルーター(B2C)— 公共Wi-Fiでも自宅同様のセキュアな通信

ブースのもう一つの柱が、トラベルルーターのラインアップです。ホテルやカフェ、空港などの公共ネットワークでも、自宅やオフィスと同じように安全で快適な通信環境を作れる製品群です。
これらのルーターは、自宅のIP環境を持ち運べるVPN機能を中心に、広告・トラッカーを遮断するAdGuard Home、通信を監視・制御するDPIといった機能を一括で管理できます。VPNは30社以上の主要サービスに対応しています。
Ms.ガジェット公共Wi-Fiはセキュリティが心配なので、こういうルーターがあると安心ですね。
Mr.ガジェット一度設定すれば、つないだすべての端末をまとめて保護できるのが便利なところですね。Wi-Fi 7世代の高速通信にも対応しています。
Slate 7(GL-BE3600)— デュアルバンドWi-Fi 7の実力機
Slate 7は、デュアルバンドのWi-Fi 7に対応するトラベルルーターです。すでに国内外で展開されているモデルで、2.5Gのマルチギガビットポートを2基備え、有線接続も強化されています。
Ms.ガジェットSlate 7はどんな特徴のルーターなんですか?
Mr.ガジェットデュアルバンドWi-Fi 7に対応していて、2.5Gポートを2基備えているのが特徴ですね。用途や予算に合わせて選びやすい一台です。
Slate 7(GL-BE3600)主要スペック
| Wi-Fi | デュアルバンドWi-Fi 7(2.4GHz 688Mbps / 5GHz 2882Mbps) |
| ポート | 2.5G Ethernet×2 / USB 3.0 |
| ファームウェア | OpenWrt 23.05 |
| 寸法 | 130×91×34mm |
Beryl 7(GL-MT3600BE)— 新世代になったポータブルルーター

Beryl 7は、人気のBerylシリーズの使いやすさを受け継ぎながら、デュアルバンドのWi-Fi 7世代へと進化したトラベルルーターです。2.5GのEthernetポートを備え、有線接続も強化されています。
Ms.ガジェット定番のBerylシリーズもWi-Fi 7になったんですね。
Mr.ガジェット使い勝手はそのままに、通信性能が世代を進めた一台ですね。旅行や出張で複数の端末をまとめて保護したい人に向いています。
Beryl 7(GL-MT3600BE)主要スペック
| CPU | MediaTek クアッドコア @2.0GHz |
| メモリー | DDR4 512MB / 512MB NAND |
| Wi-Fi | 2.4GHz 688Mbps / 5GHz 2882Mbps |
| ポート | WAN×1, LAN×1(100/1000/2500Mbps) |
| 消費電力 | 12W未満 |
| 寸法 / 重量 | 120×83×34mm / 205g |
Beryl AX(GL-MT3000)— 公共Wi-Fiを安全に使う定番モデル

Beryl AXは、ポケットサイズのWi-Fi 6トラベルルーターです。WireGuardやOpenVPNをはじめ主要なVPNサービスに対応し、ホテルやカフェ、空港などの公共ネットワークを使いやすく、安全にしてくれます。
Ms.ガジェットWi-Fi 7のモデルもある中で、Wi-Fi 6のBeryl AXはどんな位置づけですか?
Mr.ガジェット持ち運びやすさとコストのバランスがよい定番モデルですね。家庭でも旅行でも扱いやすい一台です。
Beryl AX(GL-MT3000)主要スペック
| CPU | MediaTek デュアルコア @1.3GHz |
| メモリー | DDR4 512MB / 256MB NAND |
| Wi-Fi | 2.4GHz 574Mbps / 5GHz 2402Mbps |
| ポート | WAN 2.5Gbps / LAN 1Gbps |
| 消費電力 | 8W未満 |
| 寸法 / 重量 | 120×83×34mm / 196g |
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ブース展示で見えたGL.iNetの方向性と日本市場参入
今回の取材を通して見えてきたのは、GL.iNetが「リモートで安全にネットワークを扱う」という一貫したテーマを、B2BとB2Cの両面から提案しているということです。
B2B向けには、障害時の現地対応を減らすリモートKVMのCometシリーズ。B2C向けには、公共Wi-Fiでも安全な通信を実現するWi-Fi 7トラベルルーター。展示された各製品は、いずれもこの方向性に沿ったラインアップでした。
Ms.ガジェット日本市場への参入は、これからどう進んでいくんでしょうか?
Mr.ガジェット製品情報のローカライズや日本語サポート体制の強化、それに販売パートナーの開拓を進めていくそうです。Interop Tokyoへの出展は、その出発点という位置づけですね。
まとめ
GL.iNetの「Interop Tokyo 2026」初出展では、日本初公開を含むリモートKVM「Cometシリーズ」と、Wi-Fi 7世代を中心としたトラベルルーターが披露されました。
特に、世界で初めてiPhoneの操作に対応したという小型KVM「Comet Q」は、個人から現場まで活用の幅を広げる新製品です。一方のトラベルルーター群も、VPNやセキュリティ機能を備えながら、Wi-Fi 7の高速通信へと着実に世代を進めています。
この記事のポイント!
- GL.iNetが「Interop Tokyo 2026」に初出展し、リモートKVMとWi-Fi 7トラベルルーターのラインアップを披露
- リモートKVM「Cometシリーズ」はOOBM対応で、障害時もBIOSレベルから遠隔管理できる
- 新型「Comet Q」は世界初のiPhone対応KVMで、クラウドファンディング実施中
- Wi-Fi 7トラベルルーターはVPN・AdGuard Home・DPIを備え、公共Wi-Fiを安全にする
Ms.ガジェットネットワーク機器って奥が深いですね。今後の日本展開も気になります。
Mr.ガジェット日本語サポートやパートナー体制が整っていけば、選択肢として有力になりそうですね。今後の展開に注目していきたいです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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