FRAIM株式会社は、株式会社マネーフォワードと共同で、社内に蓄積された法務相談ログを再利用可能な構造化ナレッジへと変換し、新規の相談を根拠付きで支援するAIの実証実験を実施したと発表しました。本実証実験は、文書業務に特化したAIエージェント「FRAIM AI Agent」を基盤とし、AIと協働する組織づくりを支える「FRAIM Agentic Platform」への導入も見据えて設計されています。実施期間は2026年4月から6月までとしています。
実証実験の背景と課題
法務相談はチャットツール上で日々やり取りされることが多く、相談スレッドが時系列で流れていくため、同じ論点が繰り返されても過去の回答が再利用されにくいという課題があります。回答の質が担当者個人の経験や記憶に依存しがちであり、知見が再利用されず判断の根拠が残らないという構造的な問題を解決するため、今回の実証実験が企画されました。
構築・確認された主なポイント
本実証では、マネーフォワードより提供された約1.8万件の相談カテゴリの正解ラベルや過去の法務相談スレッドのログをもとに、相談を再利用できるナレッジへと構造化しました。実装および検証した主なポイントは以下の通りです。
- 過去ログの構造化: 談話構造解析によるQ&Aや判断根拠への分解、正解ラベルを用いた分類モデルの開発、引用ナレッジグラフ化を実施。
- プレイブック化: 構造化した知見から確認チェックリストや想定FAQ、判断根拠の引用を自動生成し、相談カテゴリごとのスキルとして統合。
- AIエージェントによる支援: カテゴリごとに最適化したAIエージェントが、類似相談の検索や確認事項の先回り提示、回答案の起案までを一連で支援。
- 学習サイクルの土台構築: 担当者の承認や修正をプレイブックと分類モデルの学習データに還流させ、再学習により精度を高める仕組みを構築。
各社のコメント
株式会社マネーフォワード 法務ガバナンス本部 副本部長の吉田成希氏は、これまでの法務相談における判断の軸が個人の中に閉じてしまっていた課題に触れ、AIが人間の判断を支援するという設計思想のもとで構造化が行われたことに大きな手応えを感じているとしています。また、今後の法務業務の高度化に向けた取り組みの発展に期待を示しています。
FRAIM株式会社 代表取締役社長兼CEOの宮坂豪は、誤りが許されない専門領域であるからこそ、AIには答えを出すこと以上に根拠を示すことが求められると述べています。さらに、同社VPoML兼AI統括室責任者の水野多加雄は、実務で本当に役立つかどうかに重点を置き、人間の最終確認を前提としたAIエージェントとして設計したと説明しています。
今後の展開
FRAIMは、本実証実験で確認された構造化によるナレッジ化や、根拠付き・人間最終確認による支援の価値をもとに、回答支援の実務評価、ナレッジ品質の継続的改善、業務ツールとの連携を含む本運用に向けた設計へと発展させる方針です。また、得られた知見を関連製品の機能強化へと還元し、幅広い専門業務でのAI協働を支援するとしています。
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