金属積層造形市場の拡大と課題
近年、金属積層造形は、試作から量産、高付加価値部品の製造へと用途が広がっています。しかし、生産性の向上や品質の再現性、工程全体の効率化といった課題が依然として多く存在するといいます。

スイス・ザンクトガレンに拠点を置くIRPDは、これらの課題に対し、ベッコフのPC制御技術とEtherCATを採用することで、産業用途で求められる性能と信頼性を兼ね備えた金属積層造形システムを実現しました。
Ms.ガジェットIMPACT 4530の概要
IRPDは、25年以上にわたり積層造形分野に携わってきたアディティブマニュファクチャリング専業の機械メーカーです。自動車、航空宇宙関連、切削工具メーカー向けに、設計から後加工まで一貫した生産ソリューションを提供しています。

同社が開発した金属積層造形機「IMPACT 4530」は、レーザー粉末床溶融法(LPBF)*※1 *を採用し、広い造形エリアと4基の1,000Wファイバーレーザーを組み合わせることで、多様な金属粉末から高品質な部品を柔軟に製造します。
IMPACT 4530の大きな特長は、コンテナ方式による自動化コンセプトです。造形用のコンテナと金属粉末供給用コンテナを自動で挿入・ドッキングすることで、セットアップ作業を標準化し、ダウンタイムを最小限に抑えています。
Ms.ガジェットIMPACT 4530の技術詳細
IMPACT 4530では、密閉された造形コンテナが機械にドッキングされると、即座に造形に適した環境が形成されます。その後、水平軸が造形板上に金属粉末の層を積み重ね、レーザーで溶融・結合させて立体部品を造形します。

レーザーとガルバノスキャナー*※2 *の高速かつ高精度な制御が重要であり、ADSインターフェースを通じてベッコフのTwinCAT制御システムと通信します。これにより、レーザービームをマイクロメートル精度で移動させることが可能となっています。
IMPACT 4530の高度な自動化と安定した造形プロセスは、ベッコフのPC制御とEtherCATによって支えられています。造形ベッド上のレーザー走査を除くすべての機械機能をベッコフのPC制御で統合的に制御しています。
Ms.ガジェットベッコフ技術の採用メリット
IMPACT 4530では、制御盤格納型の産業用PC「C6675」が、軸制御、空気圧、機械安全、不活性ガス循環、冷却などの機能を一元的に管理しています。TwinCATを用いることで、PLC、モーション、HMI、ビジョン、安全機能を単一の開発環境で実装しています。

モーション制御には、ベッコフのAX8000多軸サーボシステムとAM8000サーボモーターを採用し、ワンケーブルテクノロジー(OCT)により配線工数を削減、メンテナンス性を向上させています。また、TwinCATが提供する標準的なモーション関数を使用することで、プログラム工数を大幅に削減しました。
さらに、ベッコフのEtherCAT I/Oは、コンパクトな設計でシステム内のスペースを節約し、多機能なモジュールや安全フィールドセンサー接続モジュールなど、充実した製品ラインアップがシステムの制御に貢献しています。EtherCATのホットコネクト機能により、システム停止なしでのモジュール交換や拡張にも対応可能です。
Ms.ガジェットIRPDの今後の展望
IRPDのCEOであるシュテファン・ラング氏は、ベッコフ技術採用の理由について、PC制御のオープン性、TwinCATの高度な開発環境、そしてベッコフの革新的な製品群を挙げています。
加工ソフトウェア開発責任者のカイ・グートクネヒト博士は、産業用PCのC6675が、現在の制御に加え、造形品質のモニタリングやビッグデータ解析、機械学習などにも対応できる余力があり、今後の開発で新たな機能を拡張予定であると述べています。
Ms.ガジェット*※1:3Dプリンターの主要な方式の一つ。金属などの粉末材料を薄く敷き詰め、高出力レーザーを照射して溶融・結合させ、一層ずつ積み重ねて立体部品を造形する技術。*
*※2:ガルバノメーターの原理を応用し、ミラーを高速・高精度に動かしてレーザー光を任意の方向へ精密に照射(走査)させる制御装置。*
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