Vicorの電源モジュールがBetterfrost社の解氷システムに採用
Vicor Corporation(本社:米国マサチューセッツ州)は、Betterfrost Technologies社(本社:カナダ)が開発した解氷システムに、同社の電源モジュールが採用されたことを発表しました。(2026年1月20日米国東部時間発表)

従来の霜取りの課題とEVへの影響
従来のフロントガラスの霜取りは、内燃エンジン(ICE)から発生する廃熱を利用していました。しかし、熱の伝わりが均一でないため、エネルギー効率が低いという課題がありました。電気自動車(EV)の普及に伴い、空調システムがバッテリー駆動に移行しましたが、この従来の手法が踏襲されています。

EVは静粛性の高さから車内が密閉されやすく、窓ガラスの曇りが発生しやすい傾向があります。特に外気温が氷点下の場合、走行中にフロントガラスが凍結し、視界を遮る危険性も存在します。従来のHVAC(暖房・換気・空調)システムでは十分な対応が難しく、EVにおける除霜技術の根本的な見直しが求められています。
Betterfrost社の革新的な解氷技術
Betterfrost社は、この課題を解決する画期的なソリューションを開発しました。独自のアルゴリズムと高電力密度の電力変換モジュールを用いたパルス電力供給技術により、乗用車やトラックの窓ガラスの霜を60秒で溶かすことを可能にしています。この技術により、エネルギー消費量を従来の1/20にまで低減することに成功しています。

Betterfrost社の技術は、2015年にダートマス大学のICE研究室における発見を基にしています。それは、「フロントガラスの霜を取り除く際、氷を完全に溶かす必要はない」というものでした。霜取りには、氷とガラスが接する界面層の結合を弱めるだけで十分であることが分かったのです。
パルス電力と独自の電力制御アルゴリズム
Betterfrost社は、制御された短いパルス電力をガラス表面に印加することで、氷の下に薄い疑似液体層を形成し、ガラス全体を加熱することなく瞬時に氷を剥離させます。フロントガラスやサンルーフに施された低放射(Low-E)導電膜を電気回路として利用する独自の電力制御アルゴリズムが、この画期的な性能を実現しています。
この技術により、従来のHVACシステムで約25分を要していたフロントガラスの解氷が、わずか1分足らずで完了します。エネルギー消費量は95%も削減され、ガラスの表面を均一に温めるため、ひび割れの原因となる熱ストレスも軽減されます。外気温が氷点下20℃の環境では、暖房に必要なエネルギーを最大27%削減し、EVの航続距離を延ばすことにも貢献します。
快適性と省スペース化、そして更なる応用
Betterfrost社の技術は、騒音の原因となるブロワーモーターや、かさばるエアダクトを排除できるため、車内空間の快適性を向上させます。また、それにより生まれたスペースを他の用途に有効活用することも可能です。
この技術は、自動車分野以外にも応用が期待されています。航空機の翼への着氷防止、風力タービンのブレードへの着氷防止、冷凍倉庫における除霜のエネルギー効率向上など、幅広い産業への展開が検討されています。
VicorのBCM電圧変換比固定バスコンバータ
Betterfrost社のソリューションにおいて重要な役割を果たすのは、48Vを中心とした電力供給ネットワークです。安全かつ高効率で高速のパルスをガラス表面に印加するため、高電力密度で車載グレードのVicor電圧変換比固定バスコンバータBCM(R)が採用されています。このBCMは、800Vまたは400Vから48Vへの変換を行います。
VicorのBCM6135は、3.4kW/in³という業界トップクラスの高電力密度を備えたDC-DCトランスとして動作します。高電圧側に入力された電圧は、モジュールの変換比(Kファクター)に従い低電圧へ変換されます。例えば、Kファクターが1/16の場合、800Vの入力に対して50Vの出力が得られます。従来のDC-DCコンバータと比較して、最大90%の小型化を実現しながら、高い安全基準を満たしています。
今後の展開
Betterfrost社は現在、自動車メーカーやティア1サプライヤー、物流・運送業者との協業を積極的に進めており、商用トラックやプレミアムEVの早期導入企業との連携を深めています。今後3~5年の間で、EV・ハイブリッド車のプラットフォームへの導入が進むことが期待されています。
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