溶液成長法によるSiCウエハの開発
株式会社オキサイドパワークリスタル、マイポックス株式会社、株式会社UJ-Crystal、アイクリスタル株式会社、国立研究開発法人産業技術総合研究所、そして国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学の研究グループは、6インチp型SiCウエハの試作に成功したことを明らかにしました。

この開発は、名古屋大学で長年研究されてきた溶液成長法(溶媒に溶け込んでいる溶質を種結晶上に析出させることで結晶成長させる方法)を基盤技術とし、AI技術の一種であるデジタルツイン(実験や製造工程を仮想空間で再現し、最適化を高速に進めるシミュレーション技術)によるプロセス最適化を組み合わせることで実現しました。
SiC(シリコンカーバイド)は、電気自動車や鉄道、再生可能エネルギー用インバータなどに使用される次世代パワー半導体材料として注目されています。本格的な普及には、ウエハの大口径化と高品質化が不可欠です。
Ms.ガジェット国際会議での展示と今回の意義
2025年9月に韓国・釜山で開催されたSiC国際会議「ICSCRM2025」において、このグループは溶液成長法による6インチp型SiCウエハおよび6インチ・8インチn型SiCウエハを展示しました。特に、超高耐圧パワーデバイスの実現に不可欠なp型SiCウエハの出展は、日本企業として初めてのことです。

ICSCRM2025で大きな反響を得たp型SiCウエハは、今回「SEMICON Japan 2025」にて日本国内で初めて公開されます。展示会場では、6インチp型SiCウエハに加え、6インチおよび8インチのn型SiCウエハも展示され、溶液成長法によって得られた大口径・低欠陥SiC結晶の最新成果が紹介されます。
直流送電や大規模データセンター向け電源システムなど、次世代社会インフラを支える新たなキーマテリアルとして、国内外から注目を集めています。
Ms.ガジェット今後の展望とNEDOとの連携
オキサイドパワークリスタルは、大学発のシーズである溶液成長法と、自社およびパートナー企業が持つAIデジタルツイン技術、育成技術を組み合わせることで、大型化と結晶品質向上という課題に取り組んでいます。

今後も、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業「次世代デジタルインフラの構築」プロジェクトとの連携を強化し、社会実装に向けた段階的なステップを着実に進めていく方針です。
この取り組みを通じて、電力損失の低減とカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目指しています。
Ms.ガジェット展示内容の詳細
- 展示品:6インチp型SiCウエハ、6インチ・8インチn型SiCウエハ
- 展示場所:マイポックス株式会社ブース(小間番号:W3855)
マイポックス株式会社は、NEDOグリーンイノベーション基金事業「次世代デジタルインフラの構築」プロジェクトのコンソーシアムメンバーです。
SiCウエハは、不純物の有無によって色が変わります。p型ウエハはアルミニウムなどをドーピングすることで青色に見え、n型ウエハは窒素などをドーピングすることで薄緑色を帯びます。
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