世界初となる自己復元特性の確認
三菱電機株式会社は、国立大学法人京都大学大学院工学研究科の平方研究室との共同研究の結果、高配向性熱分解グラファイト(HOPG)が自己復元特性を持つことを世界で初めて確認したとのことです。この研究は、2019年から続く京都大学との組織連携活動の一環として実施されました。

Ms.ガジェットMEMSの信頼性向上への期待
近年、スマートフォンや自動車、ウェアラブルデバイスなどの普及に伴い、MEMSの需要が拡大しています。MEMSは、振動や衝撃に耐える高い耐久性が求められる一方、軽量化も重要な課題となっています。三菱電機は、軽量で柔軟かつ高い強度を持つvdW積層材料をMEMSに適用することで、これらの課題を解決できると期待しています。

従来のvdW積層材料は、マイクロレベルでの試験片の作製が難しく、疲労特性の解明が遅れていました。しかし、今回の共同研究により、HOPGのマイクロレベル試験片の作製に成功し、新たな試験方法を確立することで、中長期的な信頼性の評価が可能になったとしています。
確立された新たな試験方法
三菱電機と京都大学は、HOPGのマイクロレベル試験片に繰り返し曲げ負荷を与え、せん断変形させる新たな試験方法を確立しました。この試験方法を用いることで、HOPGへの負荷がどのように影響を与えるかを詳細に分析することが可能になったとのことです。

試験の結果、HOPGの試験片は負荷回数の増加に伴い軟化するものの、時間の経過とともに硬さを含む機械的強度が回復する「自己復元特性」を持つことが確認されました。具体的には、両方向への試験において、1,000回の負荷で変形抵抗が41%まで低下しましたが、7日間放置した結果、97%まで回復したということです。
Ms.ガジェット自己復元特性のメカニズム
この自己復元特性は、積層構造によって振動エネルギーを逃がすHOPGの特性と、振動による疲労を回復する機能が組み合わさることで実現されると考えられています。HOPGを素材とするMEMSは、継続的な振動環境下でも壊れにくく、信頼性の高い機器の開発に役立つと期待されています。

HOPGは、強い原子結合を持つ薄いシート(グラフェン層)が、弱い力(vdW力)で積み重なった構造をしています。この構造により、HOPGは曲げられても層間すべりが起こり、折れて壊れることなく大きな変形を柔軟に吸収することができます。また、グラフェン層間のvdW相互作用が、一度切れても再び形成されることが、自己復元特性の要因となっていると考えられています。
今後の展望
三菱電機は、今回確認された自己復元特性をMEMSの振動吸収機構に応用し、長寿命で信頼性の高い振動吸収機構の開発を目指しています。さらに、他のvdW積層材料についても自己復元特性の研究を深め、材料の変形によって電位が発生するvdW積層材料への応用も検討していくとしています。
将来的には、変形エネルギーを効率的に電気エネルギーに変換し続けるMEMSの実現を目指し、研究開発を進めていく方針です。今回の研究成果は、ダイヤモンドや関連材料に関する国際的な学術誌「Diamond and Related Materials」に採択されています。
Ms.ガジェット役割分担について
今回の共同研究では、三菱電機がHOPGの疲労特性評価と結果の分析を担当し、京都大学がナノ構造の物性に関する基礎研究を担当しました。両者の協力体制により、HOPGの自己復元特性の解明に繋がったとしています。
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