協定締結の背景
株式会社JVCケンウッドは、2025年12月17日、全国森林組合連合会(全森連)と「林業労働安全対策の強化」に関する連携協定を締結しました。

林業は、酷暑下での作業や、伐採・植林といった過酷な労働環境が特徴です。そのため、他の産業と比較して労働災害の発生率が高いという課題があります。また、災害発生時に携帯電話が通話圏外となり、救急要請が遅れるケースも存在します。
日本政府は、森林・林業基本計画において、林業従事者の育成・確保に向けた労働環境改善を掲げています。具体的には、10年後を目途に死傷年千人率を半減させることを目標に、労働安全対策の強化を進めています。(死傷年千人率とは、労働者1,000人あたりで発生した労働災害による死傷者数の割合を示す指標です。)
協定の内容と今後の展望
今回の協定では、両者は林業従事者の死亡災害をなくすことを最優先課題として位置づけています。業務用無線機を活用し、災害の認知速度を向上させ、救急救命率を高めることを目指します。

具体的には、全森連のネットワークを通じて業務用無線機器の販売を行います。また、導入検討に活用できる検証機材の貸し出しも実施します。さらに、作業現場での実証実験や、林業従事者向けの安全教育・研修会での活用支援も予定されています。
JVCケンウッドは、得られた結果やフィードバックを製品の改善に反映させ、より安全で利便性の高い製品を提供していく方針です。将来的には、現場作業や事務処理の効率化による生産性向上を図り、林業のICT化や担い手確保にも貢献することを目指しています。
Ms.ガジェット林業現場の通信環境について
日本の林業現場は、携帯電話基地局から離れた地域が多く、電波が届かないエリアが広範囲に存在します。衛星通信などのインフラも利用可能になりつつありますが、コスト面などの課題から導入は容易ではありません。

一方、業務用無線機は自前の通信ネットワークを構築するため、基地局の圏外でも通信が可能です。また、低い周波数帯を使用し、波長が長いため、森林でも安定した通信環境を確保できます。
JVCケンウッドの無線機は、音声通信に加え、動態検知機能や位置情報送受信機能も備えています。動態検知機能は、利用者の転倒や静止を検知し、自動的にエマージェンシーコールを発報する機能です。これにより、万が一の事故発生時にも迅速な対応が可能になります。
Ms.ガジェットこれまでの取り組み実績
JVCケンウッドは、これまでにも林業分野への無線システム提供を行っています。音声通信に加え、動態検知機能を備えた業務用無線機や、連携するスマートフォンアプリ「Soko-co Forest」、位置管理システム「Soko-co」などを提供しています。

これらのシステムは、平戸市森林組合(長崎県)や南富良野木材産業株式会社(北海道)などで導入されており、実証実験も実施されています。導入事例や活用イメージは、JVCケンウッドのウェブサイトや公式YouTubeチャンネルで確認できます。
- 導入事例:平戸市森林組合 https://www.kenwood.com/jp/pro/com/casestudy/08/
- Soko-co Forest活用イメージ紹介:https://www.youtube.com/watch?v=CjlrARBAT38
Ms.ガジェット全国森林組合連合会について
全国森林組合連合会(全森連)は、森林組合系統の全国連合組織です。全国45道府県森林組合連合会、東京都森林組合、大阪府森林組合を会員としています。

全森連は、森林所有者146万人を組合員とし、全国597組合で構成されています。組合員所有森林面積は約1,040万haにのぼります。森林造成を通じて、木材供給、国土保全、水資源涵養、環境保全など、多岐にわたる事業を展開しています。
また、森林所有者の経営相談や森林管理、林産物の共同販売、資金の融資など、森林づくりと持続可能な木材生産を推進しています。
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