堀場エステック「京都福知山テクノロジーセンター」新棟が本格稼働
HORIBAグループの半導体事業を手掛ける株式会社堀場エステックは、研究開発拠点である「京都福知山テクノロジーセンター」の新棟が本格稼働を開始したことを発表しました。新棟は、半導体プロセス制御の進化に貢献し、最先端技術をリードする新たな拠点となる見込みです。

拠点概要と国際規格認証
京都福知山テクノロジーセンターは、2013年にグループ初の研究開発専用施設として開設されました。気体の質量流量校正(単位時間あたりに、与えられた面を通過する流体の質量)において、国際規格ISO/IEC 17025(試験所や校正機関の技術的能力と品質管理体制に関する規格)の認定を取得しており、主力製品であるマスフローコントローラー(MFC、気体や液体の流量を精密に制御する装置のこと)などの品質向上に貢献しています。

新棟増設の内容
今回の新棟増設により、気体流量校正設備と液体気化実験設備の処理能力がそれぞれ2倍に拡張されました。これにより、これまでよりも幅広い測定域での試験・校正が可能となり、最先端の半導体プロセスで求められる新材料への対応を強化します。また、中長期的な生産能力強化に向けた基盤も構築されたとのことです。

先進技術活用を推進するエンジニアリング室
新棟には、最大規模のエリアとして、先進技術の活用を推進するエンジニアリング室が新設されました。同施設で行う研究成果をもとに、HORIBAグループが有する高度なデータマネジメント技術を活用した精緻なデジタルツイン(物理現象を高精度に再現する仮想モデル)モデルの構築を推進し、MFCのさらなる高機能化および開発スピードの向上を目指します。

隣接工場との連携と事業拡大
堀場エステックは、隣接地に建設中の京都福知山工場(2026年春稼働予定)と連携し、本施設で生み出す先端技術を早期に実装するシナジー(相乗効果)を追求します。これにより、半導体事業の拡大と成長を目指していくとしています。

実験体制の強化と新領域への展開
現有機能の拡大として、気体流量校正設備の処理能力を強化し、微小流量および大流量域への対応力を高めます。MFCだけでなく、他分野への応用拡大も視野に入れています。また、液体気化実験設備の処理能力を約2倍に強化し、最先端の半導体製造プロセスに使用される新たな液体・固体材料への対応力を高めています。

新設された実験室
新棟には、プラズマ実験室とエンジニアリング室が新設されました。プラズマ実験室では、プラズマを発生・計測・制御する技術の研究を推進し、半導体製造装置のプロセスチャンバーのクリーニングや低ダメージプロセス開発など、新たな領域への展開を図ります。
Ms.ガジェットデジタルツインモデルの確立と技術展開
エンジニアリング室では、高速かつデジタル化されたMFCから得られる膨大な実験・稼働データをHORIBA独自のデータマネジメントシステムで収集し、これまで計測が難しかった領域の流量や部品の劣化度合い、寿命などを予測するデジタルツインモデルの確立を目指します。このモデルは、ホリバ・インスツルメンツ社(米国)やホリバMIRA社(英国)など、HORIBAグループ全体への技術展開と新たな価値創出を推進する上で重要な役割を果たすとしています。
Ms.ガジェット環境負荷低減への貢献
半導体製造プロセスでは、SF₆(六フッ化硫黄)などの温室効果ガスが使用されています。堀場エステックは、MFCの研究開発においても同様のガスを扱うことから、除害設備によるガスの無害化に取り組んできました。今後は、ガス計測・分析の知見を活かし、除害設備の分解性能を正確に把握できる計測装置を独自開発し、環境負荷低減に貢献する新たなビジネス創出を目指します。
イノベーションを促進する拠点環境
新棟は、開放感のある吹き抜けや採光性の高いテラスなど、意匠と機能を両立したデザインを採用しています。多目的スペースとして活用できるカフェテリアも備え、快適かつ意欲的に働くことができる環境を整備しています。また、産学官・企業間連携を促進するためのラボスペースも新設されました。
Ms.ガジェット地域貢献と雇用創出
今回の施設の拡張と京都福知山工場の立上げに伴い、研究開発から生産までを一体で担う新たな拠点が構築されます。これにより、地域の雇用創出と人材(堀場では従業員を「人財」と表現)の定着にも貢献することを目指しています。
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