時刻同期用GNSS受信機にセキュリティ強化
古野電気株式会社(本社:兵庫県西宮市)は、時刻同期用GNSS受信機「型式:GT-100」「型式:GT-90」「型式:GT-9001」シリーズ向けに、新たなファームウェアを提供開始しました。

今回のアップデートでは、認証機能(OSNMA/QZNMA)が追加され、Galileo(欧州のGNSS)およびQZSS(日本の準天頂衛星システム)からの認証メッセージにより、航法メッセージの真正性を確認できるようになりました。これにより、スプーフィング攻撃(悪意のある第三者がGNSS信号を模倣・放送すること)への耐性が強化されています。
ジャミング・スプーフィング対策の強化
また、多様な妨害信号を高精度で検出・排除する機能が強化され、安定した時刻同期が実現されました。ジャミング(GNSS信号を妨害する電波)対策も強化されており、より堅牢なシステム構築に貢献します。

これらの対策は、通信・金融・電力といった社会基盤を支える分野において、GNSSの脆弱性が大きな課題となっている状況を受け、重要インフラに求められる高い堅牢性と信頼性を実現するために実施されました。
「ジャマーテスト」での実証実験
今回の強化は、ノルウェーで開催された世界最大級のGNSS耐性試験「ジャマーテスト」において、実際の攻撃環境下で検証を重ねた結果に基づいています。2024年には課題を抽出し、2025年には改良版を用いて再度実証実験を行い、実運用に近い条件で耐性アルゴリズムの有効性を確認しました。

その他の機能強化と提供方法
新ファームウェアでは、認証機能やジャミング・スプーフィング対策の強化に加え、高度制限の撤廃による成層圏等での利用拡大、TAI時刻出力機能の追加、多様なデータフォーマット(RTCM10403.3、RINEX4.1、バイナリ)への対応といった機能強化も行われています。

既存ユーザー向けには、ファームウェアアップデートとして提供されます。新ファームウェア搭載モデル「型式:GT-100」「型式:GT-90」「型式:GT-9001」は、2026年3月より出荷開始予定です。
関連製品と今後の展望
古野電気株式会社は、GNSS受信機用同軸サージプロテクター「型式:TVA-05V」も提供開始しました。これは、落雷などによるサージ(電気回路に一時的に発生する異常な過電圧や過電流)から受信機を保護し、重要インフラの安定運用をさらに強化するものです。

同社は今後も、事業ビジョンの「安全安心・快適、人と環境に優しい社会・航海の実現」のもと、時刻同期技術のさらなる向上と信頼性強化に努め、重要インフラを支える技術基盤として業界の発展に貢献していくとしています。
Ms.ガジェット

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