台湾と日本の企業が戦略的提携
台湾・広運グループ傘下の金運科技（Kentec）と、AIデジタルツインのリーディングカンパニーである鵬碩系統（Agaruda System）ら台湾企業連合は、12月12日に日立エナジー、ニデック、および信越科学産業（SSI）との戦略的提携を発表しました。
この提携により、鹿児島県に確保された1GW規模の電力供給拠点を活用し、350MWのAI算力（計算資源）を供給可能なデータセンターの構築を目指します。これは、日本国内で高まるAI需要に応えるための取り組みです。
「日台共創」がもたらす新たな展開
金運科技の謝明凱会長は、今回の提携について「日本は土地、電力、そして世界最高水準のインフラ技術を有しており、台湾は世界で最も完全なAIサーバーサプライチェーンとシステム統合能力を持っている」と述べました。
謝会長はさらに、台湾のAIサーバー大手7社の生産能力を日本へ円滑に導入し、日本企業がAIデータセンター建設に必要な重要設備を迅速に確保できるよう支援する計画を明らかにしました。日立エナジーの高圧電力システムとニデックの冷却設備を採用することも決定しています。
Ms.ガジェット「AIワールドシミュレーター」で建設期間を短縮
デジタルツイン技術の導入
1GWという巨大インフラを効率的に稼働させるため、鵬碩系統（Agaruda System）は独自の「AIワールドシミュレーター」技術を導入します。これにより、鹿児島の建設予定地を仮想空間上に1:1で完全再現します。
Agarudaの許傑貴会長は、「IPD（統合プロジェクトデリバリー）手法を組み合わせ、AIシミュレーションによる干渉予測を行うことで、データセンターの建設工期を30%短縮できる」と説明しました。これにより、日本政府のAI整備目標の早期達成に貢献することが期待されています。
Ms.ガジェットエネルギー効率を高める「考える有機体」
リアルタイム連動による最適化
AgarudaのAI脳は、ニデックの冷却設備や日立の電力システムと0.1秒レベル（ミリ秒単位）で連動します。これにより、GPU負荷を能動的に予測し冷却リソースを調整することで、データセンター全体がエネルギー効率を高め、あたかも「考える有機体」のように機能すると述べています。
また、金運科技は、デジタルツインを用いたデータセンター機房モデルのシミュレーションを行っており、熱循環まで精密に模擬できる技術を有しています。これにより、顧客の設計期間を短縮し、データセンター内の情報を常時把握できる環境を提供します。
Ms.ガジェット九州シリコンアイランドの未来を見据えて
廃熱の有効活用とSDGsへの貢献
本プロジェクトが九州を選んだ背景には、地域が有する「シリコンアイランド」としての復興ビジョンとの合致があります。台湾側の連合は、先進的なESG技術「熱回収（ヒートハーベスティング）」を日本へ導入することを約束しています。
これにより、AIデータセンターから発生する廃熱を回収し、農業や地域暖房の資源として転換し、SDGs（持続可能な開発目標）への貢献を目指します。加えて、関東から関西にかけて約2.9GW規模の潜在的な開発案件を把握していることも明らかにしました。
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