東京工芸大学が透明アンテナを開発
東京工芸大学の越地福朗教授は、放射効率81.6％、光学的透明性76.7％を実現したガラス基板の光透過型アンテナを開発しました。このアンテナは、高い放射効率と高い透明性を両立している点が特徴です。
開発の背景
近年のスマートシティ実現に向け、5G/6Gなどの次世代通信システムの導入が進んでいます。しかし、アンテナ基地局やアンテナ数の増加による景観への影響が課題となっていました。そこで、外観や景観と調和する透明なアンテナの開発がスタートしました。
本アンテナの研究は、越地福朗教授を中心に、安田洋司准教授、内田孝幸教授、山田勝実教授の4名によって進められました。各教員がそれぞれの専門分野の研究力・技術力を結集した結果、今回の開発に成功しています。研究は2021年に開始され、現在も性能向上を目指し継続中です。
また、光透過型アンテナに関する基礎技術については、2025年に特許を取得しています。
Ms.ガジェット透明アンテナの可能性
従来のアンテナは金属材料で構成されているため、透明性がなく設置場所が限定されるという課題がありました。透明なアンテナが実現すれば、窓やガラス、めがねなどの透明な部材に、透明性を維持したままアンテナ機能を付加することが可能になります。
さらに、壁、天井、ディスプレイ、自動車や航空機、ドローンなどに、目に見えない形でアンテナを組み込むことも可能になると考えられています。
従来の透明アンテナとの違い
従来、国内外で発表されてきた透明なアンテナの多くは、ITO（酸化インジウムスズ）透明導電膜を用いたものでした。しかし、放射効率は50～60％程度に留まるなど、高いアンテナ放射効率を得ることが困難でした。
本研究では、金(Au)や銀(Ag)などの導電率の高い金属薄膜を、ITOなどの誘電体薄膜で挟み込む「誘電体-金属-誘電体（DMD）」構造を採用しました。これにより、放射効率と透明性がともに高くなる構造を明らかにしています。
Ms.ガジェット越地教授のコメント
越地教授は、「光透過型アンテナは、アンテナ性能だけでなく“透明であること（芸術面）”を含めて設計するものでありテクノロジーとアートの交差点に位置していると考えている」と話します。
また、「透明なアンテナ＝何も描かれていないキャンバス”であり、色やデザインは自由自在。透明でありながらワイヤレス通信機能を付与できる光透過型アンテナの今後の応用先や発展性については、無限の可能性を秘めている」と述べています。
光透過型アンテナの概要
光透過型アンテナに関する特許公開番号は第7752420号です。発明者は、越地福朗教授、安田洋司准教授、内田孝幸教授、山田勝実教授の4名です。詳細については、以下のURLで確認できます。
Ms.ガジェット東京工芸大学について
東京工芸大学は1923年に創設された「小西寫眞（写真）専門学校」を前身とし、テクノロジーとアートの融合を追求し続けてきました。2023年に創立100周年を迎えました。
詳細は、以下のURLで確認できます。
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