水冷GPUサーバーの運用効率向上 PoCに成功

水冷GPUサーバーのPoCで優秀な結果

株式会社ゲットワークス（以下、ゲットワークス）、株式会社フィックスターズ（以下、フィックスターズ）、NTTPCコミュニケーションズ（以下、NTTPC）の3社は共同で、水冷GPUサーバーの運用効率向上のためのPoCを実施しました。

今回のPoCでは、コンテナ型データセンターに水冷GPUサーバーを設置し、データセンター、GPUサーバー、ソフトウェアの連携を最適化することで、高い電力効率を実現することを目指しました。その結果、pPUE（partial Power Usage Effectiveness）1.114を記録し、商用利用の有効性を確認したとのことです。

pPUEは、データセンターの一部（モジュールやゾーン）の電力効率を示す指標です。ICT機器の消費電力に対する、特定部分の総消費電力の比率で、今回記録された1.114という値は、優秀とされる水冷式データセンターの範囲内であるとされています。

背景と課題

生成AIやHPCの需要増加

企業における生成AI（人工知能）やHPC（High Performance Computing：高性能計算）の活用が本格化しており、高性能GPUサーバーの需要が急増している状況です。

水冷GPUサーバーの国内普及の遅れ

高性能なGPUサーバーを効率的に稼働させるためには水冷GPUサーバーが有効ですが、海外では商用利用事例が増加している一方、国内では空冷式のデータセンターが主流であり、水冷GPUサーバーの事例はまだ少ないとされています。

統合的な連携の必要性

GPUの性能を最大限に引き出すためには、データセンター、GPUサーバー、ソフトウェアの各レイヤでの統合的な連携が不可欠です。しかし、現状では各レイヤの個別最適にとどまるケースが多く、課題となっているとのことです。

PoCの内容と検証結果

コンテナ型データセンターでの検証

今回のPoCでは、コンテナ型データセンターにおいて水冷GPUサーバーを稼働させ、データセンター、GPUサーバー、ソフトウェアを統合的に調整した環境下で、様々な負荷を与え、各種データを計測しました。

また、水冷GPUサーバーと空冷GPUサーバーの性能比較検証も行われました。その結果、最大負荷時のGPU平均温度が、空冷GPUサーバーと比較して摂氏15度程度低減され、水冷GPUサーバーの冷却性能が確認されました。

統合モニタリングシステムの構築

フィックスターズは、コンテナ型データセンター内の環境、ハードウェア、ソフトウェアを統合的に管理する統合モニタリングツールを構築しました。これにより、サーバー負荷と温度をリアルタイムにモニタリングし、InRow空調（サーバーラックの列の間に設置する局所空調システム）の制御やキャッピング（空調効率を高めるための仕切り設計）を実施することが可能になりました。

統合モニタリングシステムによる検証結果の画面は公開されており、詳細なデータを確認することができます。

各社の役割と今後の展開

各社の役割

• ゲットワークス：湯沢GXデータセンターにて商用環境と同等のコンテナ型データセンターを提供し、キャッピング等の調整を実施
• フィックスターズ：水冷GPUサーバー、サーバー冷却設備を提供し、統合モニタリングツールを構築
• NTTPC：大規模GPUクラスタの提供実績に基づき、ハードウェアエンジニアリングの観点から検証を実施

今後の展開

高性能なGPUサーバーの普及が進む中、今後さらなる水冷GPUサーバーのニーズ拡大が想定されています。3社は連携を強化し、日本国内のコンテナ型データセンターにおける水冷GPUサーバーの商用利用拡大に向けて取り組んでいく方針です。

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