JTBグループは、国内外計54社から成る大規模な企業グループです。従来、各社の財務会計システムは国内本支店や法人、地域ごとに独立して運用されており、財務データが分散していました。このため、情報収集と分析には多くのマニュアル作業が発生し、事業システムとのデータ連携も限定的でした。事業環境の変化に迅速に対応するためには、財務情報の適時性、正確性、即時性を高めることが課題となっていました。
また、JTBグループは長期ビジョン『OPEN FRONTIER 2035』において、事業活動を国内中心から海外へと広げるポートフォリオ転換を掲げています。この転換を支えるには、グローバルレベルで統合された経営情報基盤と財務情報基盤の構築が喫緊の課題とされていました。
Ms.ガジェット新システムの構成と技術詳細
日本IBM、日本オラクル、TISの3社は、共同で「Oracle Fusion Cloud Applications」を基盤とした新財務会計システムを設計・構築しました。中心となるのは、「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning(ERP)」および「Oracle Fusion Cloud Enterprise Performance Management (EPM)」です。これに、TISが提供する経費精算システム「Spendia」と自動仕訳作成システム「会計処理エンジン」を統合し、事業システムとの柔軟なデータ連携を実現しています。

導入方針として、Fit to Standardを徹底しました。ERPパッケージの標準機能に業務プロセスを合わせ、カスタマイズを極力抑えることで、システムの複雑性を低減しています。実際、「Oracle Fusion Cloud Applications」の標準機能の95%をそのまま活用し、個別最適化された会計業務の根幹部分を標準化しました。この結果、各拠点・会社ごとの個別対応を最小化しつつ、グループ全体での統一運用を可能にしています。
Ms.ガジェット導入スケジュールと効果
新システムの導入は段階的に行われました。まず2025年4月に、JTBの国内本社および国内グループ会社23社へ導入を完了。その後、2026年1月には海外法人31社への展開を完了し、JTBグループ全社にわたる財務会計システムのクラウド化を実現しました。
| 導入対象 | 導入時期 |
|---|---|
| 国内本社・国内グループ会社(23社) | 2025年4月 |
| 海外法人(31社) | 2026年1月 |
この新システムにより、国内外の財務・管理会計情報が一元的に保存・管理されるようになります。事業や組織、セグメント、サブセグメント別の業績分析や収益分析をリアルタイムで把握できるため、正確な経営数値の適時把握が可能となります。多角的な階層分析による事業ポートフォリオ・マネジメントの強化や、迅速な意思決定の支援が期待されています。
さらに、Fit to Standardの方針により、業務標準化が進み、属人化した知見の偏りが解消されます。これにより、グローバル統一の運用・保守体制の構築や、一括したバージョンアップ対応が効率化される見込みです。
Ms.ガジェット各社の役割と今後の予定
プロジェクト全体は、日本IBMがJTBとのデジタル変革パートナーシップに基づき統括しました。日本オラクルはコンサルティング・サービス部門を通じて、「Oracle Fusion Cloud Applications」のアーキテクチャー設計、データ連携基盤の導入、標準化を支援。TISは「Spendia」と「会計処理エンジン」の導入を共同で遂行しました。
JTB、日本IBM、日本オラクル、TISは、国内でのシステム導入後、2025年4月以降の月次決算と中間決算を完了させ、新会計業務プロセスの定着と改善に努めています。2026年1月に稼働を開始した海外グループ会社への定着、ならびに2026年5月に予定されている国内支店会計システム統合により、JTBグループの新財務会計システムの完成を目指していきます。
JTBは、新システムの活用に加え、リアルタイムデータの活用やAIなどの最新技術の組み込みにより、財務会計業務のさらなる発展を推進し、『OPEN FRONTIER 2035』の実現を図っていくとのことです。
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