DNPが次世代半導体向けガラスコア基板の製造体制を強化
大日本印刷株式会社(DNP)は、次世代半導体パッケージ向けの「TGV(Through Glass Via:ガラス貫通電極)ガラスコア基板」のパイロットラインを、埼玉県久喜市の久喜工場内に新設します。稼働開始は2025年12月から順次行うとのことです。

このパイロットラインでは、製品の量産に向けた検証を行い、2026年初頭に高品質なサンプルの提供を開始する予定です。DNPは、この施設と体制の構築を通じて、事業ポートフォリオの改革も推進していくとしています。
背景にある半導体パッケージの課題
近年、生成AIの進展などを背景に、機能の異なる複数の半導体チップを1つの基板上に高密度で実装する「チップレット」が普及し始めています。これにより、次世代半導体のパッケージ基板は大型化する傾向にあります。

しかし、従来の有機樹脂ベースの基板では、求められる平坦性を確保することが難しく、微細な配線形成が困難になるという課題がありました。また、剛性不足による基板の反りも、半導体チップの実装を難しくする要因となっています。
TGVガラスコア基板の特長
DNPは2023年に、これらの課題解決に向けた次世代半導体パッケージ基板として、ガラスをコア材にしたTGVガラスコア基板を開発しました。この基板は、マザーボードと半導体チップの間に配置されるFC-BGA(Flip Chip-Ball Grid Array)用のコア材料です。

TGVガラスコア基板は、微細な貫通電極を多数形成することで、マザーボードと半導体チップ間の電気接続を可能にします。従来の有機樹脂からガラスに置き換えることで、より高密度な貫通電極の配置が可能となり、半導体パッケージの一層の高性能化に貢献します。
また、パネルサイズは510×515mmと比較的大きいものの、次世代半導体パッケージ基板として必要な平坦性と、反りを生じさせない高い剛性を実現しています。さらに、ガラスを貫通する孔に銅を充填する「充填タイプ」と、貫通孔の側壁に金属層を密着させる「コンフォーマルタイプ」の2種類を製造・提供する予定です。
DNPは、顧客ニーズが高く、自社の技術的優位性が発揮できる「高アスペクト(ガラスの厚みに対して貫通孔径が小さい)かつ高品質の製品」を主なターゲットとして、量産化を目指しています。
今後の展開と展示会情報
DNPは、新設するパイロットラインで2026年初頭にTGVガラスコア基板のサンプル提供を開始し、顧客や市場の動向を見ながら、2028年度の量産開始に向けた体制を構築していきます。

なお、2025年12月17日から19日にかけて東京ビッグサイトで開催される「SEMICON Japan 2025」において、DNPブース(東6ホール・小間番号:E5936)でこの製品を展示する予定です。
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